[M&A戦略と法務]

2009年8月号 178号

(2009/07/15)

株主間契約・合弁契約における株式処分関連条項に関する実務的考察

TMI総合法律事務所弁護士 尾城 雅尚
  • A,B,EXコース
第一 はじめに

合弁事業の組成を会社形式で行う場合、また、株式譲渡や第三者割当増資によるM&Aの結果として、限定された複数の株主により会社が運営される場合、複数の株主による被支配会社(以下「対象会社」という。)の運営を定めた契約が締結されるのが通常である。前者であれば合弁契約、後者であれば株主間協定などと呼称されるものである(以下総称して「株主間契約」という。)。
このような株主間契約では、その株主関係の解消・終了に関する条項(以下「株式処分関連条項」という。)が極めて重要な役割を持つ。営利事業である以上、未来永劫同じ株主の下で同じ事業を順調に継続していくことは稀である。早ければ二〜三年後には、事業不振による撤退、事業内容・方針の転換、株式上場を含む株主構成の大幅な変更といったイベントへの株主としての判断を迫られることがむしろ通常であろう。
もちろん、それぞれの場面に応じて株主間の協議で解決できるのであれば問題ないが、特に、対象会社が経営不振に陥っているような場合には利害の対立が生じる場面も多く、常に協議解決が期待できるわけではない。その意味で、種々の事態に対応した株式処分関連条項は、(株式譲渡契約における表明保証条項のような「万が一」に備えた規定に比べて)その適用場面が遥かに現実的に想定されるものであり、慎重な検討の上、内容が確定されるべきものである。以下、実務的に用いられている株式処分関連条項の概要を紹介すると共に、その採用に当たっての留意点をまとめた。

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