[CLOSE-UPトップの決断]

2009年8月号 178号

(2009/07/15)

子会社との統合で投資力を強化し家庭用品で世界トップメーカーを目指す

レック青木光男社長
  • A,B,EXコース
吸収合併の狙い

――スルガは2003年9月にレックを買収し、子会社としました。今回10月1日付でレックを吸収合併することになりましたが、この狙いは?
「スルガは100 円ショップ業界に強力な販路を持っています。一方のレックはホームセンター・総合スーパーをはじめとした量販店に対して高いブランド力を持ち、多数の製品をレックブランドとして認知していただいております。この両社の強みを生かしつつ、国内家庭用品市場において今後圧倒的なシェア拡大を目指すとともに、国外にも強力な販路を開拓して世界各国から高い評価を得ることのできる世界一の企業を目指すというのが今回の合併の狙いです。当社は、当期をその基盤作りのための初年度と位置付けていまして、この合併は、家庭用品業界における日本トップクラスの営業力と新製品開発力を集積し、最も効果的なスタートダッシュを確保するための最大の施策のひとつと位置づけています」
――存続会社はスルガですが、商号はレックにするのですね。
「スルガのお客様につきましては商号に関わりなく今後も取引を拡大させていくことが可能ですが、レックの商号が消滅することによるリスクは軽視できないものがあると判断していまして、今後の積極的な営業展開を効率的に進め株主の皆様により貢献できる企業とするために、今年6月26日開催の当社定時株主総会において、合併契約承認決議及び合併に伴う定款一部変更議案を得ることを条件として、当社は本合併の効力発生日にその商号を『レック株式会社』に改めるとともに、本店所在地を東京都中央区に移転することにしました。また、新生レックとして当期中にテレビCMをはじめとして、あらゆる方法で製品と会社のブランド力を高め、これまでにない積極策により急速な売上高の拡大を計画しています」
――2社が一緒になって厳しい環境のなかで攻勢をかけようと?
「そうですね。実は最近、海外見本市に行ってゾッとしました。今年1月にアンビエンテというドイツで開かれる世界一の見本市、それと4月には香港で見本市がありまして、それぞれにレックの商品コーナーをつくって展示したのです。そこには各国からいろいろな業者が来ますけど、ある日本の大手家具量販店のバイヤーが40人ぐらい来ていて、中国の工場から家庭用雑貨を直接買いつけている。それを見て、これはうかうかしていられないと。小売店さんは私たちにとってお客さまなのですが、ある面ではライバルになっている。私たちが去年つくった商品はすぐに真似されて、小売チェーンが自ら中国の工場を使ってつくってしまう。売れ筋商品はみんなそうなってしまうのです。それに対抗するためには、やはり開発能力を高めて、特許などの知的所有権で保護された商品をどんどんつくっていく体制をつくらないといけない。それはすごく感じました。そのためには相当の資金力が要ります。コマーシャルなど広告にも力を入れなければいけない。そういうことを考えると、レックとスルガを合わせることによって、資金力の面でもこれまでできなかった投資ができるようになります」
――大手小売チェーンも海外展開に力を入れています。「例えば、イオンさんでは現在10%の海外売上高を15年までに50%にするといっておられますし、大創産業も海外に500店舗を展開するなど、本当に活動がグローバルになってきています。今後は、当社が特色を持ったメーカーになれるかどうかが企業としての存続の一番のポイントになりますし、それは海外にも通用するメーカーにならないといけない。この2つがわれわれに要求されているということです」

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