[対談・座談会]

2010年1月号 183号

(2009/12/15)

会社法の検証と今後課題――M&A、締め出し、企業結合法制の視点から

森本 滋 同志社大学大学院司法研究科 教授(京都大学名誉教授)
稲葉 威雄 弁護士
  • A,B,EXコース
目次
はじめに
〈第一部〉
会社法の検証
 
第一
MBOと取得条項付種類株式による締め出し
第二
株式併合と締め出し
第三
株式移転と締め出し、株主権の縮減
第四
少数株主締め出しとは
第五
支配株主の責任―誠実・信認義務
第六 
株式買取請求権の意義と機能
 
〈第二部〉
今後の課題
第一
企業結合法制の整備の必要性
第二
差止請求権の拡大

おわりに

はじめに

司会:規制緩和の時代思潮のもと、事前規制から事後救済へ軸足を移した会社法が制定されて、二〇一〇年は五年目の節目の年となります。長年の課題とされてきた企業結合法制が積み残され、早期の改正を要望する声も高まっていますが、改正への動きは鈍いようです。こうした中、M&Aをめぐっていくつもの問題が発生しています。会社法で合併等対価の柔軟化や全部取得条項付種類株式が創設され、少数株主の締め出しが制度的に可能になったこともあり、上場企業のMBOが増え、紛争になるケースも増えています。会社法制定前から認められている株式併合、株式移転を利用した締め出しの問題もあります。会社法制を補う形で、買収防衛策やMBOの指針、第三者割当増資や株式併合に関する東京証券取引所の有価証券上場規程などの改正といったソフトローによる仕組みも整備されてきています。

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