はじめに世界金融危機をきっかけに、そしてわが国では政権交代というイベントがあって、「会社は株主だけのものではない」「従業員は、少なくとも株主と同ランクに位置づけられるべきである」との論調がわが国では高まっている。しかし、標準的な会社法のテキストはいずれも、会社は出資者(株主)のものであり、出資者が会社の運営を支配するとともに、出資者が事業活動から生じる利益の帰属者になる、と明言している。果たして、会社法の標準理論は時代遅れなのだろうか。