[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2014年10月号 240号

(2014/09/15)

第117回 マンションディベロッパー業界 非専業企業による寡占化の進展

 マール企業価値研究グループ
  • A,B,EXコース

はじめに

  2000年以降のマンションデベロッパー業界の変化として注目されるのは非専業企業による寡占化の進展であり、これはマンションディベロッパーの事業構造に起因するものであるため、今後ますます進むものと考えられる。
  本稿では、このような構造変化をM&Aの視点を含めて概観し、今後のM&Aの可能性について言及したい。

1.マンションディベロッパー業界の競争環境

(1)マンションディベロッパーの外部環境

  マンション市場は、2014年4月の消費税増税の影響による駆け込み需要と反動減から、2013年のマンション供給戸数が対前年比12.2%増の10万5282戸と、2007年から6年ぶりに10万戸台を回復(注1)したが、2014年上半期の首都圏(一都三県)の新規供給戸数が1万9394戸(対前年比20.2%減)と大幅減となり、2014年の年間見通しも首都圏で5万7000戸から5万戸(対前年比11.5%減少)へ下方修正されている(注2)。

  マンション供給戸数は、表1のように、2000年から2006年までは15~16万戸台で推移していたが、地価が高騰した2007年に下げ始め、2008年以降はリーマンショックに始まる経済危機の影響から10万戸を下回った。そして、首都圏・近畿圏では2010年に、その他地方では2011年に底打ちをみせ、2013年に10万戸を回復している。

表1 マンション供給戸数等の推移

  参考として、不動産経済研究所公表の供給戸数とマンション価格から市場規模を概算すると同じく表1のようになり、新築マンションの市場規模は、2000年の6.4兆円であったものが、2009年に3.0兆円まで縮小し、2013年に4.4兆円まで回復している。

  今後のマンションディベロッパー業界は、景気回復や東京オリンピック等を材料とする不動産市況の底堅さから、楽観はできないものの明るい見通しを持つ観測が多い。

 

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