[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2015年8月号 250号

(2015/07/15)

第126回 外食業界――デフレビジネスモデルが崩壊、コンビニに市場を侵食される外食業界で生き残るのはどこか

編集部
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外食産業の市場規模と動向

  日本の外食産業の市場規模は24.4兆円(2014年実績:公益法人 食の安全・安心財団)に上る。この巨大市場は、少子高齢化やデフレ経済の長期化の影響から1997年をピークに減少傾向をたどり、11年を底として少しずつ持ち直してきてはいるものの、14年時点ではまだリーマンショック前の水準まで回復するには至っていない。モーニングスター報道部の鈴木草太記者はこう解説する。

「日本における『外食元年』とされるのは、70年です。前年に第2次資本自由化が行われ、飲食業も自由業種に指定されたことで、外資との提携も始まっています。70年にすかいらーくや日本ケンタッキー・フライド・チキンが第1号店を出店、翌71年にミスタードーナツと日本マクドナルドホールディングスがそれぞれ1号店をオープンさせています。

  外食市場は、86年に初めて20兆円台に乗せた後、相次ぐ異業種の参入によって市場が活性化したこと、またバブル景気を追い風にして市場規模が拡大しました。90年以降のデフレ経済に突入した後も、市場は漸増が続きました。この背景には、共働き家庭の増加、晩婚化などによる外食比率の上昇が影響した面があると見られます。ただ、消費税率が従来の3%から5%に引き上げられた97年に29.1兆円を記録したのをピークに明確なダウントレンドに転じ、08年のリーマンショックを経て、東日本大震災が起きた11年には22.8兆円まで縮小しました。その後、アベノミクスによる景況感の回復もあって14年には24.4兆円となっていますが98年以降のダウントレンドは、ファストフードの伸び悩みが要因です。外食大手14社の直近決算期の売上高合計は約2.5兆円で、前年比で3%超拡大しましたが、伸び率業界首位のゼンショーホールディングスが9.3%、2位のすかいらーくは2.3%と売上高を伸ばした一方で、例えば3位の日本マクドナルドHDは、食品安全問題などによって顧客離れが進んだことを背景に14.6%も減少しています」

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