M&A専門誌マール

2017年8月号 274号 : M&Aの現場から

【三井住友信託銀行】 信託銀行の機能を活かしてM&Aをはじめとしたトータルソリューションを提供

 坂上 雄彦(情報開発部長兼企業情報部主管)
 住吉 敬(企業情報部第二チーム チーム長)
 関口 雄一(情報開発部トータル・コンサルティングチーム チーム長)

左から関口 雄一氏、坂上 雄彦氏、住吉 敬氏  三井住友信託銀行の業務は、「法人トータルソリューション事業」、「個人トータルソリューション事業」、「法人アセットマネジメント事業」、「不動産事業」、「証券代行事業」、「受託事業」、「マーケット事業」の7つの事業部門に分かれている。

  同行がM&Aのアドバイザリー業務を始めたのは1980年代後半から。2012年に住友信託銀行、中央三井信託銀行、中央三井アセット信託銀行の3社が合併し、「三井住友信託銀行株式会社」が発足したが、これによって顧客層が大幅に拡大し、事業承継などM&Aに対するニーズも増大した。現在、M&Aを担っている部隊は、法人トータルソリューション事業に属しており、同事業のもとにある国内営業店部とともに、「情報開発部」がM&Aをはじめとする事業を起点としたトータルソリューションの提供を行っている。さらにM&Aの実務を行う「企業情報部」があり、情報開発部との一体運営による総勢60人体制でM&Aのアドバイザリー業務に取り組んでいる。

  「弊社は、取引先企業の経営企画、財務、総務、人事等の各コーポレート部門とリレーションを持つ数少ない専業信託金融機関です。私どもは『帯で繋がる取引』と言っておりますが、お客様のパートナーとして長期にわたってお取引をいただくことをしっかりと認識したうえで、M&Aについても単に案件ベースでのマッチングでなく、事業戦略を踏まえたM&A提案を営業店と一緒になって行っております。

  また、当社の強みである不動産、年金等の各プロダクトの連携によって、PMIまで“帯で繋がる”一気通貫のトータルソリューションの提供を推進していることが大きな特徴です」と語るのは、坂上雄彦(サカウエ・タケヒコ)・情報開発部長兼企業情報部主管。

  坂上氏は、1991年住友信託銀行入社。国内法人営業に長年従事し、総合商社等を担当した後、2008年から法人営業部門の企画部で、12年の中央三井信託銀行との統合に先立って法人営業事業の統合に中心的に関与し、14年10月情報開発部長、15年4月より情報開発部長兼企業情報部主管(現職)として、国内外のM&A案件のオリジネーション活動を行っている。

  情報開発部の中には産業リサーチを行うアナリスト部隊が10数人在籍している。情報開発部のトータル・コンサルティング業務チーム長の関口雄一氏はこう解説する。

  「単なるマッチングのM&Aというより、産業構造が変化する中でどのように事業戦略を立てるべきかという観点で取り組んでいます。個社分析、外部環境分析、マーケットからの評価等現状把握をしっかり行ったうえで、買収候補先の提示、資本業務提携など事業戦略に役立つ、ストーリー性を持ったM&Aの提案を行うためにアナリスト経験の豊富なスタッフが営業店と連携を取りながら活動しております」

  関口氏は、03年住友信託銀行入社。株式運用部リサーチアナリストとして精密機械セクターを担当。12年10月より情報開発部トータルコンサルティングチームで電機・精密機械セクターを中心に企業の課題分析とソリューション提供を行っている。

  「信託銀行の特徴である『資産継承』において、『財産をお預かりし、財産を守り、承継する』という信託機能によって、遺言信託、不動産、株式処分信託、教育資金贈与信託等の幅広い商品・サービスをご提供することでお客様のお手伝いをさせていただいております。

  他方、企業オーナーにとってのもう1つの大きな財産は『事業』であり、どのように従業員を承継していくかは大きなカギとなります。『事業にかける思い、経営理念までもお預かりして後継者に引き継いでいく』という点で、事業承継の局面においても『信託機能』が求められており、その事業承継の手段としてM&Aがあります。資産承継・事業承継の両面において、企業オーナーに寄り添えるパートナーとしてお取引をして行きたいと考えております」と坂上氏。

  銀行の中でも信託銀行は、財産・資産を預かり、管理・運用をすることがベースにある。特に不動産は大事な資産の一つであり、仲介・管理受託、鑑定評価等の実務機能を持っている。こうした機能を活用した不動産関連のM&Aに強みを発揮しているのも同行の特徴だ。

  「弊社は不動産関連事業のM&Aを01年以降約50件の成約、特に14年度から現在まで14件成約しております。弊社の不動産関連アドバイザリー業務の強みは、不動産事業を深く理解した上で、M&A実務をワンストップで提供できる不動産に精通したワンストップソリューションにあると考えています。

  特に、専門知識やディール経験豊富で、不動産としての評価とキャッシュフローをベースとした事業としての評価について各種コンサルティング活動を展開していることから、オペレーショナルアセットである物流、ホテル分野や、再生可能エネルギー等の分野を得意領域としています。

  最近の傾向として

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