[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2018年11月号 289号

(2018/10/15)

第163回 サービス業界~スペース・シェアリング・ビジネスを牽引するティーケーピー(日本)とウィーワーク(米国)

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
  • A,B,EXコース
1.「空間再生流通事業」により急成長を遂げてきたティーケーピー(東証マザーズ上場)

 2018年7月、内閣府がシェアリング・エコノミーに関わる調査結果を発表した。同調査には、シェアリング・エコノミーをスペース(不動産賃貸等)、モノ(モノのレンタル等)、スキル・時間(家事サービス、個人のスキルのフリーマーケット等)など5つの分野の市場規模の試算結果が盛り込まれた(文末※1参照)。これによると市場規模合計は4700億円〜5250億円で、分野別にみるとモノの市場規模が3000億円程度と圧倒的に大きいが、これに次いで約3割(1400億円~1800億円程度)を占めたのがオフィスや駐車場のレンタル、民泊などの事業を意味する「スペース」であった。

 スペース分野に関わるシェアリング・エコノミーを実践することで急成長を遂げてきた企業が東証マザーズ上場のティーケーピー(証券コード:3479)である。最近ビジネス街を歩いていると、赤を背景とする白い文字で「TKP」という看板が掲げられているオフィスビルを目にする。これが同社のロゴである。ティーケーピーは不動産オーナーから遊休不動産、低収益物件などを一括して借り上げリニューアルし、利用者にリーズナブルな価格で小分け(時間貸し、一部屋単位)して提供する「貸会議室事業」をビジネスの中核としてきた。仕入れた遊休資産を小口にしてシェアするのである。利用者の企業にとっては必要な時だけ会議室を借りることによって、自社で会議室を保有している場合にかかる維持コストの削減などを図ることができる。特に最近では企業のオフィスの在り方が変化しつつあり、企業内の非効率なスペースのアウトソーシングが急速に進展しているという。

 ティーケーピーは

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