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[ポストM&A戦略]

2018年3月号 281号

(2018/02/15)

第111回 現地功労者の交代

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)

  新設で立ち上げた海外現地法人には、現地で採用され、長年にわたって勤務し、現地法人の組織的な成長に合わせて少なからぬ貢献をしてきた功労者がいることがある。また、買収によりグループ入りをした海外現地法人には、買収からこの方、買い手の考える方向で事業を軌道に乗せ、また名実ともに買い手企業グループの一員となるべく、積極的に融和や融合を進め、少なからぬ貢献をしてきた功労者がいることがある。
  どんな偉大な功労者にも、いろいろな事情でいつかは交代のタイミングが来る。その際、功労者に対して慎重を期すあまり交代の判断を誤ったり、折角のこれまでの良い関係がぎくしゃくするのを恐れるあまり、打ち手やコミュニケーションを誤ったりしがちなのが、日本企業にとっての問題である。今回は、いくつかの視点を挙げて、いつか必ず到来する現地功労者の交代の考え方を整理したい。

「現地功労者」とその交代の背景

  本稿で取り上げる現地功労者には、親会社である日本企業の海外進出の考え方や、この間の経緯を反映し、大きく2つのタイプがある(図)。図の上段は、①ある程度以上の規模の買収を契機に買い手のグループに入り、事業と組織を成長させ、成功に導いた功労者であり、下段は、②小規模組織からスタートし、現地での事業運営や組織運営に必ずしも慣れていない日本の親会社を助け、長年にわたり支えて、事業と組織を少しずつ大きくして今日に至らしめた功労者である。
  まず、①「買収後、事業と組織を成長させ、成功に導いた功労者」について、概説する。買収時の経営者がリテインされ、買い手の期待に応えて大いに貢献した、というのが典型である。具体的には、例えば事業・組織の安定と成長を実現し、さらに買い手の企業グループの一員たるべく、買い手の価値観や仕事の進め方を理解し、積極的に融和・融合を推進した、ということである。もちろん、リテインされた経営者でなくて、新たに採用された経営者でもよい。ここでは、実際に大きな貢献をしたことがポイントである。
  これまでは基本的に上手くやってきた功労者が一転して交代、という話になるのは、必ずしも本人に問題が生じたからではなくて、本人に対する期待値が引き上げられ、あるいは期待の内容や方向性が変わり、本人がそれに適応できず、本社も本人にそれを期待するのはもはや難しいと判断した、ということである。

(図)現地功労者のタイプと交代の契機

  もう一つ、自分たちより「格上」である買い手の既存組織や新たな買収先、つまり事業規模と組織レベルにおいて自分たちに勝る組織と統合された結果、本人のポジションや果たすべき役割がなくなってしまった場合も、功労者の居場所がなくなる。このような統合は、最初から本社のプランに入っていて、準備が整うのを待って計画通り実行する場合もあるし、当初そのようなことは考えてもいなかったのが、その後に状況が変わり、あるいは考えが具体化して、統合に至る場合もある。
  この2つのケースに共通するのは、功労者の交代が必要になる最大の原因は、これまでと状況が変わってしまったことであって、交代に至ったことについては、「必ずしも本人に非があるわけではない」点である。本人に悪いところがないのに交代やむなし、とするのであるから、本社の決意が鈍りがちなのも理解できる。しかし、ここは合目的的に考え、決意を鈍らせるのではなくて、正しく決断して、本人にはその埋め合わせをきちんとするのが採るべき道である。
  一方、②

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