[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2018年10月号 288号

(2018/09/18)

【珈琲館】外食チェーン経営のプロ・友成勇樹社長が語る「成長の青写真」

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UCCグループからPEファンドへ

右から友成 勇樹(珈琲館 代表取締役)、佐藤琢也(ロングリーチグループ プリンシパル)
右から友成 勇樹(珈琲館 代表取締役)、
佐藤 琢也(ロングリーチグループ プリンシパル)
 ユーシーシーホールディングス(UCCHD)傘下のユーシーシーフードサービスシステムズ(UFS)は2018年5月1日、カフェチェーン「珈琲館」事業をPEファンドのロングリーチグループに譲渡した。

 UFS が新たに受皿会社を設立し、会社分割により珈琲館事業を移転。その上で、UFS は、受皿会社の株式をロングリーチの設立する買収目的会社に譲渡するというスキームが取られた。UCCHDは、「珈琲館」事業の売却によって主力の「上島珈琲店」などに経営資源を集中するとともに、売却した珈琲館事業とは今後も友好的な関係を維持し、コーヒー豆等を継続して提供することで事業の発展を支援するとしている。

 「珈琲館」事業は、1970年4月に真鍋国雄氏が直営1号店となる「専大前本店」を創業したのが始まり。99年4月に「珈琲館株式会社」へ社名変更され、その後、08年5月にUCCが珈琲館の発行済株式総数の89%を取得して子会社化することで基本合意し、09年10月UFSと合併した。今回、ロングリーチグループの傘下に入ったカフェチェーン事業は「珈琲館株式会社」として新たなスタートを切った。

大阪本店
大阪本店
 カフェには大きく2種類に分かれる。セルフ式とフルサービス式で、セルフ式はカウンターで注文をし、商品を受け取るタイプで、スターバックス、ドトールがこちらのタイプ。一方、フルサービス式はスタッフがテーブルに注文をとりにくるタイプで、セルフ式と比べて客単価も高い。コメダ、ルノアールなどがこのタイプだ。

 珈琲館の店舗数は17年末時点で266(対前年比1.5%減)で、フルサービス式の中ではコメダ(746、9.2%増)に次いで2位。セルフ式も含めたカフェチェーン全体では6位という位置付けになっている。

 この珈琲館事業を買収したロングリーチグループは、海外を拠点とする複数の投資ファンド、アドバイザリー業務を提供している香港・上海を拠点とする「ロングリーチグループ・リミテッド」と、東京拠点の「ロングリーチグループ」で構成されており、このうちロングリーチグループは、これまで日本でウェンディーズ・ジャパン等の外食事業やビアメカニクス(旧日立ビアメカニクス)など大企業のカーブアウト案件に対する投資実績を持っている。

 全日本コーヒー協会の「日本のコーヒー需給表」によると、11年の42万トンから16年の47万2000トンまで珈琲の需要は連続して伸び続けている。しかしコーヒー店は、セブンカフェが18年2月期にコーヒーを10億杯販売するなど、コンビニコーヒーが攻勢をかけ、セルフ式カフェの競争は激しさを増している。また、フルサービス式カフェチェーン業界でも、コメダなど各社が個性的なメニューで打ち出すなど特徴を競っており、こちらも競争はし烈だ。加えて、フルサービス式カフェチェーンの場合は加盟店が独立して経営するフランチャイズ方式が多く、オーナーの高齢化という問題も抱えている。厳しい経営環境の中で、珈琲館はどのような成長の青写真を描いているのか。珈琲館の社長に就任した友成勇樹氏と、ロングリーチグループの佐藤琢也プリンシパルに珈琲館買収の経緯と、今後の成長戦略について聞いた。

<インタビュー>
フルサービス形態の喫茶店の中で「珈琲館」は磨けば輝く宝石の原石

 友成 勇樹(珈琲館代表取締役)
 佐藤 琢也(ロングリーチグループ プリンシパル)
2017年夏からアプローチ

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