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[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2019年5月号 295号

(2019/04/15)

インテグラルが東洋エンジニアリングの再生に乗り出した理由

山本 礼二郎(やまもと・れいじろう)

山本 礼二郎(やまもと・れいじろう)

一橋大学経済学部卒。ペンシルバニア大学ウォートン・スクールMBA及び、ローダー・インスティテュートMA取得。1984年三井銀行(現・三井住友銀行)に入行。90年ATカーニー(シカゴ)勤務。91年ロンドンにてストラクチャード・ファイナンスに従事。98年帰国、さくら銀行企業情報部(現 SMBCグループ)において、グループヘッドとしてクロスボーダーのM&Aを担当。2000年ユニゾン・キャピタルに参加。04年4月GCA株式会社取締役パートナー就任。05年10月株式会社メザニン代表取締役就任。07年9月インテグラル代表取締役パートナー就任。
<著書>
「バイアウト」(共著、日本経済新聞出版社)

 東洋エンジニアリングは、2019年2月の臨時株主総会決議を経て、インテグラルが運営するPEファンドを引受先に第三者割当増資で優先株を発行し、150億円を調達した。

 東洋エンジニアリングは、12年に発表した中期経営計画で売上高5000億円を掲げた。しかし、15年3月期に209億円の最終赤字に転落し、石橋克基氏が社長を引責辞任し中尾清氏が就任。さらに、18年3月期も268億円の最終赤字に転落し、中尾氏が引責辞任して永松治夫氏が社長に就任と、2代連続トップが引責辞任するという事態となった。

 赤字決算の背景には、売上拡大に走り、インドネシアや米国、ブラジルといった海外案件の採算悪化があった。18年3月期の赤字も15年に約1500億円で受注し工期4年間で800億円超の赤字となった米国のエチレン製造プラントが原因だった。19年3月期の受注見通しは、売上高が前期比3%減の3000億円、最終損益は10億円の黒字に転換する見通しとなっているものの、自己資本比率は18年9月末時点で10.8%にまで落ちるという事態となり、このため、信用が低下し、新たなプロジェクト受注にも支障が出る可能性が高まったことから、財務基盤の立て直しが急務とされていた。

 同社は、1961年旧東洋高圧工業(現三井化学)の工務部門が分離独立し、大成建設、三井物産の出資によって設立され、06年5月第三者割当増資によって、三井物産が22.7%を保有する筆頭株主になった。日揮、千代田化工建設と併せて「エンジニアリング専業3社」と呼ばれ、化学会社のプラント部門が独立した経緯から、エチレンプラントや肥料プラントの建設に強みを持つ。

 しかし、06年の増資で筆頭株主となった三井物産は今回の増資には応じず、優先株を引き受けるのはインテグラルのPEファンドということになった。この増資により自己資本比率は17%に改善する見通しで、調達した資金はあらゆるモノがネットにつながるIoTに関する研究開発や事業投資に使われる。今回発行する優先株はインテグラルが希望すればいつでも議決権がある普通株に転換できることになっており、全て普通株に転換した場合、インテグラルの議決権比率は約34.65%になる。

 インテグラルは、07年9月に創業した独立系のPEファンド運営会社。ユニゾン・キャピタルやGCAを立ち上げた佐山展生氏(現インテグラル代表取締役パートナー)とユニゾン・キャピタル、GCAの共同創業でも佐山氏のパートナーであった山本礼二郎氏(現インテグラル代表取締役パートナー)が中心となって立ち上げられた。最近ではスカイマークイトキンアデランスなどの経営再建と成長投資にも取り組んでいる。

 そこで、東洋エンジニアリングの増資を引き受けることになった経緯と再生への取り組みについて、インテグラルの山本礼二郎代表取締役パートナーに聞いた。

<インタビュー>
競争激化の中、東洋エンジニアリングは時間を買うメリットを選択した

 山本 礼二郎(インテグラル 代表取締役パートナー)

出資判断のポイント

―― 経営再建中の東洋エンジニアリングは、インテグラルを引受先とする第三者割当増資で優先株を発行し、150億円を調達しました。この話し合いが始まったのはいつごろからですか。

 「2018年の3月ごろからですね」

―― 出資するについて判断のポイントは?

 「1点目は、東洋エンジニアリングが損失を出した海外プロジェクトは過去のもの、つまり一過性のものであるかどうかです。規模の拡大に向けて売上至上主義に走った結果、海外の案件で多額の損失を出したことで財務基盤が脆弱になりました。その反省に立って

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