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[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2021年9月号 323号

(2021/08/16)

パイオニアのデジタル地図事業子会社「インクリメント・ピー」を買収したポラリス・キャピタル・グループが描く成長戦略

木村 雄治(きむら・ゆうじ)

木村 雄治(きむら・ゆうじ)ポラリス・キャピタル・グループ 代表取締役社長

東京大学教養学部卒業。米国ペンシルバニア大学ウォートン校MBA(1991年)。
2004年にポラリスを創業し、以来17年間CEO兼投資委員長として同社を牽引。『しがらみからの脱却』に焦点を当て、数多くの事業承継案件や大企業からのカーブアウト案件を成功させつつ、ポラリスを業界屈指のPEファームに成長させた。
ポラリス創業以前は、日本興業銀行でキャリアをスタートし、約16年間、同行並びにみずほ証券にてコーポレート・ファイナンスや投資銀行業務に従事。とりわけ、みずほ証券では、プライベート・エクイティ部長として、自己勘定投資による未公開株投資を推進。19年9月一般社団法人日本プライベート・エクイティ協会会長に就任。20年4月京都大学経営管理大学院客員教授就任。

“虎の子”の子会社を売却

 パイオニアは2021年6月1日、デジタル地図事業を展開する完全子会社「インクリメント・ピー」の全事業を、ポラリス・キャピタル・グループ(以下ポラリス)が運営するポラリス第5号投資事業有限責任組合等(以下5号ファンド)が保有する特別目的会社である「PIPホールディングス」に譲渡、PIPホールディングスは同日商号をインクリメント・ピーに変更した。

 インクリメント・ピーは、1994年にパイオニアのマルチメディア・ソフトウェアの開発制作会社として創業、デジタル地図、カーナビゲーション用の地図コンテンツをはじめとした、新しい暮らしの価値創造を目指してさまざまなソフトウェアの開発制作に取り組んできた。同社が手掛けるデジタル地図・位置情報ソリューションは、カーナビゲーションシステムやスマートフォン・SNSをはじめとする社会基盤のひとつとして利用されるまでになっており、カーナビメーカーやシステムベンダーに加えて、グローバルなITプラットフォーマーなどを主要取引先に持っている。

 今回、インクリメント・ピーの売却に踏み切ったパイオニアは、2015年に家庭用AV(音響・映像)機器事業とDJ(Disc Jockey)機器事業、2018年にFA(ファクトリー・オートメーション)事業を相次いで売却、車載事業に経営資源を特化したが業績悪化を止められず、2019年1月にPEファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアの傘下となって経営再建を進めている。その後も2020年3月には、サイクルスポーツ事業資産の一部をシマノに譲渡するなど、事業の選択と集中を進めてきており、今回のインクリメント・ピーの売却もその一環だ。

 パイオニアは2020年12月、2025年に向けた新企業ビジョン“未来の移動体験を創ります-Creating the Future of Mobility Experiences”を制定し、新成長戦略としてカーエレクトロニクス事業を柱として、最先端のテクノロジーを活かした市販向け、自動車メーカー向けの車載機に加えて、長年収集してきた膨大なデータをクラウドやAIを活用した自動車保険向けの先進運転支援システムや業務車両の高度な運行管理・支援を行えるサービスなどモビリティ領域におけるさまざまな課題を“モノ×コト”で解決するソリューションサービス企業への変革に取り組んでいる。

 パイオニアにとって、地図コンテンツの開発を担ってきたインクリメント・ピーは新成長戦略にとっても欠かせない“虎の子”ともいえるグループ企業。ポラリスへの売却後もパイオニアは新生インクリメント・ピーを最重要パートナーとして、地図データの開発や提供における協業を継続していくとしている。

 ポラリスは、インクリメント・ピーの成長戦略をどう描いているのか、またパイオニアとの協業をどう進めていくのか。ポラリスの木村雄治代表取締役社長に聞いた。

<インタビュー>
テクノロジードリブンでビジネスモデルを変革して2025年をめどに上場目指す

 木村 雄治(ポラリス・キャピタル・グループ 代表取締役社長)

インクリメント・ピーとの関係は10年以上前から

-- パイオニアの完全子会社で、デジタル地図事業を営むインクリメント・ピーの全事業をポラリスが運営する5号ファンドが保有する特別目的会社であるPIPホールディングスが取得しました。まず、ポラリスがインクリメント・ピーへの投資を決めた経緯についてお聞かせください。

 「実は、インクリメント・ピーとのお付き合いは10年以上前からになります。

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