[編集部から]

2021年10月号 324号

(2021/09/15)

次号予告と編集後記(2021年10月号)

次号予告

2021年11月号
特集:KKR「アジア・ファンド4号」150億ドルの対日投資戦略
2021年10月15日発売予定 
※内容は変更されることがあります。タイトルは仮題です。

編集後記

■新型コロナ禍でリモートワークが増えたのを機に、本を読む時間も増えました。中でも3冊のノンフィクションは圧巻でした。『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(マイケル・ルイス著、早川書房)、『福島第一原発事故の「真実」』(NHKスペシャル『メルトダウン』取材班著、講談社)、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一ほか著、中公文庫)の3冊です。『最悪の予感』は、世界最大の感染国になった米国で、パンデミックと戦う「ウルヴァリンズ」と呼ばれるサイエンティストたちの活動を描いた作品。著者は『マネー・ボール』や『世紀の空売り』など、数々のベストセラー・ノンフィクションを生み出してきたマイケル・ルイスだけに、米国政府の対応はじめ、日本でも注目されたCDC(Centers for Disease Control and Prevention:感染症対策の独立した研究機関)の官僚的硬直化の有様、ウルヴァリンズの活動がスリリングに描かれています。『福島第一原発事故の「真実」』は、NHKスペシャルの取材班による膨大な取材記録をまとめたもので、東日本壊滅の危機を免れたのは、吉田昌郎・福島第一原発所長らによる決死の消防注水が功を奏したというより、消防注水の失敗や格納容器のつなぎ目の隙間から圧が抜けるといった偶然が重なった結果だったことを明らかにしています。そうした偶然が重ならなかったら日本はどうなっていたか。まさに総毛だつような内容でした。そして『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』は、1984年にダイヤモンド社から初版刊行以来、版元は変わりましたが増刷を重ねているロングセラーで、旧日本軍の失敗を組織特性からとらえて、現代の組織一般にとっての教訓を導き出した社会科学的分析の書です。『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』が、旧日本軍の失敗を対象にした作品であるのに対して、前2書は、現代版『失敗の本質』を描いて見せた作品とも言えます。政官学民のあり方が問われている今、3冊のノンフィクションから多くのことを考えさせられました。(耕)

■私は埼玉西武ライオンズを応援しています。ライオンズは2016年10月、黄金期の正二塁手であった辻発彦氏が監督に就任し、2018年、2019年シーズンにはパシフィックリーグ優勝を果たしました。辻監督政権5年目となる2021年シーズンは、新型コロナ禍で様々な制約がある中、主力選手の不調、新型コロナ感染による離脱を補うように若手選手が台頭し、奮闘しています。しかしなかなか投打が噛み合わない試合もあり、現在はリーグ5位と苦しいシーズンとなっています。
ライオンズの親会社である西武ホールディングスも、鉄道事業、ホテル、レジャー事業など新型コロナの影響が直撃し、苦しい状況が続いていますが、2021年5月に、2021~2023年度の中期経営計画を発表し、経営改革を行っていくとしています。改革のキーワードの一つとして、「アセットライト」を掲げており、看板の「プリンスホテル」なども含め資産・事業の売却・流動化を実施し、現在の「保有」と「運営」の一体構造から変革していくとのことです。2023年度には、コロナ禍前の収益水準を目指しています。
ライオンズ、西武HDともに過渡期にありますが、どうにか乗り越えてほしいと願うばかりです。(苺)

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