[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2019年6月号 296号

(2019/05/20)

第170回 カーシェアリング業界 市場の拡大の先にある次世代モビリティ産業のプレーヤーとは

加藤 美幸(レコフデータ)
  • A,B,EXコース
1. 急拡大する日本におけるカーシェアリング市場

 顧客のニーズが「所有」から「利用」へとシフトする中で、自動車業界でもサブスクリプション型ビジネスが拡大している。その中でも、国内ではカーシェアリング市場の成長が著しい。

 公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団によると、カーシェアリング市場の車両台数は2018年に2万9208台で前年比19.4%増、ステーション数(車の貸出拠点)は1万4941カ所で同15.7%増と、年々拡大している(図表1)。10年前には6000人程度だった利用者数も2018年には130万人を超えており、サービスの利便性向上や認知度の高まりなどによってここ数年で急速に普及が進んできたことがうかがえる。

 日本のカーシェアリング市場は、2002年にオリックス自動車(東京)など7社が(財)自動車走行電子技術協会(現・(財)日本自動車研究所)による横浜市での電気自動車共同利用実験を引き継ぐ形でスタートした。カーシェアリングとは、登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービス・システムのことをいう。1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の利用形態で、当初は仲間同士等で自然発生的に行われていたものが、組織的に運営されるようになったものである(※)。一般的に利用時間が6時間以上の設定となっているレンタカーと違い、カーシェアリングでは10~15分単位の短時間・安価での利用が可能で、会員登録を行っていれば予約から乗車までの手続きがパソコンやスマートフォンから簡単に行える。国内では前述のオリックス自動車のほか、パーク24が2009年、三井不動産リアルティが2015年にM&Aによりカーシェアリング事業に参入し、同市場を拡大させてきた(図表2、3)。また、近年ではトヨタ自動車をはじめ自動車メーカーによる参入も見られ、今後のさらなる拡がりが想定される。

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