[M&A戦略と法務]

2008年5月号 163号

(2008/04/15)

戦略的法務デューディリジェンスの視点

TMI総合法律事務所弁護士 尾城雅尚
  • A,B,EXコース

戦略的法務デューディリジェンスの視点
TMI総合法律事務所弁護士 尾城雅尚

第一はじめに
1990年代後半より、日本におけるM&Aの件数は右肩上がりの大幅な増加を記録し、当該増加傾向は未だにとどまる様子を見せない。これに合わせてここ数年、M&Aが一般の事業会社においても、ごく普通になされる事業戦略の一つとして認識されるに至り、M&Aの裾野が拡大していることは異論の余地が無いであろう。また、当該傾向に合わせて一定程度の規模のM&Aに際して法務・財務のデューディリジェンス(以下「DD」という。)を実施するという実務もほぼ定着した感があり、法律事務所における法務DDの受任件数もここ数年で確実な増加傾向にある。ところが、そもそも論の「法務DDとは何を調査するのか」という内容については、その細部においては必ずしもM&Aに携わる関係者間でクリアな共通認識が持たれているわけではないというのが筆者の感覚である。もちろん、法務DDを受注する法律事務所側には、特に大手事務所を中心に膨大な数の経験の蓄積と共に一定程度のパターン化された調査項目のノウハウが確立されており、特に発注者である買い手サイドから詳細なインストラクションが無かった場合でも、当該M&Aの実施における対象企業(この場合、M&Aの形態によっては企業の一部である「事業」を指す場合もあり得る。以下同様)について留意すべき法律問題の一般的な調査結果を得ることは可能である。

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