[【全体】M&A入門-M&A戦略立案からPMIまで(PwCアドバイザリー合同会社)]

(2022/04/28)

【第1回】M&A戦略策定 - M&A戦略とは

平井 涼真(PwCアドバイザリー合同会社 アソシエイト)
高橋 正幸(PwCアドバイザリー合同会社 シニアアソシエイト)
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はじめに

 レコフデータによると、2021年に日本企業が関わったM&A件数は4000件を超え、過去最高の件数を記録しています。皆さまも日頃のニュースはもちろんのこと、業務でもM&Aに関する話題に触れる機会があるかもしれません。

 本連載では、「M&A」の概要をテーマに、9回にわたってM&A戦略からエグゼキューションPMIに関して、実務者の視点から解説していきたいと思います。

 本連載は、業務でM&Aに触れ始めた方に加えて、M&A業界に興味を持っている学生や、M&A業界で働いてみたいと考えている若手社会人を主な読者層と想定しています。M&Aで必要となる基本的な考え方やプロセスを、短期間で一通り理解できる内容にしていきたいと思います。

 ここで、連載を進めるにあたり、どのようなM&Aを念頭に置いているか触れておきたいと思います。私はM&Aを、「自社の既存の力では短期的に達成しがたい、インオーガニックな成長を実現するための”外”との連携手法」と考えています。経営手法であるM&Aは、様々な目的で活用されています。成長戦略の実現、技術・特許の獲得、事業ポートフォリオの入れ替え、グループ再編、海外進出、新規事業など、様々な経営課題の解決にM&Aは有効な手段となります。多くの場合、自社の経営資源を活用していくよりも、M&Aを実施したほうが経営課題の解決に効果的だと評価された場合、M&Aが検討されます。本連載では、皆さまの想像しやすい買い手の立場から、M&A活用場面の多い、成長戦略の実現に向けたM&Aを中心に解説していきます。

 全9回のうち、はじめの第1回から第3回までは、M&A戦略立案フェーズ(実際のM&A取引が始まる前の戦略立案の段階。プレM&Aとも呼ばれます)を、中盤の第4回から第6回ではエグゼキューション(実際のM&A取引の段階)を、終盤の第7回から第9回ではポストM&A(M&A後の統合作業-PMI:Post Merger Integration)をテーマとする予定です。

 第1回では、M&A戦略の概要について解説します。第2回ではM&Aの候補となる企業の選定方法、第3回では策定したM&A戦略に基づく「M&A提案」について、解説していきます。

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