[地域金融機関に聞く「M&Aによる地域活性化の現場」]

(2019/09/10)

【第6回】百五銀行 ソリューション営業部

聞き手:日本政策投資銀行 企業戦略部
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース
                         
 地域金融機関に聞く「M&Aによる地域活性化の現場」。第6回では、百五銀行を訪問し、同行ソリューション営業部の森健彦(もり たけひこ)部長、伊藤彰人(いとう あきと)事業承継・M&A支援課長、竹内健(たけうち けん)課長代理、大川篤(おおかわ あつし)係長にお話をうかがいました。

 百五銀行は、三重県・愛知県を基盤とする地域金融機関ですが、様々な金融サービスに先駆的に取り組んでいることで有名です。M&A業務も、2001年に本格参入した後、環境の変化に組織改革等で対応しながら「継続は力なり」という言葉通り、持続的に取り組まれています。

1.M&A業務の戦略的・組織的位置づけ

 三重県における事業所が約7万7,000カ所ある中で、近年では年間400件を超える休廃業や解散が発生している状況ですが、事業承継問題の中で適切な後継者を得られないことがその主要因となっています。このような状況下で、百五銀行も事業承継のニーズに応え、地域の産業と雇用を守る役割を果たしていきたいと考え、これまで20年にわたって取り組んできたM&A業務をより強化しています。

 また、現在の金融環境においては、M&A業務を顧客サービスの一環と位置付けるのみならず、重要な収益業務としても取り組んでいく方針です。

 百五銀行の新中期経営計画KAI-KAKU 150 1st STAGE 『未来へのとびら』(2019年4月~2022年3月)では、この計画期間を創立150年となる2028年度へ向けた土台づくりの3年間として位置づけ、「収益構造改革」「組織・人材改革」「IT・デジタル改革」という3つの改革を推進することで、新たな価値創造、さらなる生産性向上を目指しています。3つの改革の中には14の基本戦略を定めていますが、M&A業務は基本戦略の一つである「トップライン(役務収益)の増強」を顧客企業の本業支援という観点から牽引する役割が期待されています。M&Aの手数料収益も2022年3月期には6.3億円へと増加させることを計画しており、従来は部内の一担当業務としていた事業承継・M&Aチームを課に昇格させ、新たに課長を加えた11名体制(課長1名、M&A専担8名、事業承継専担2名)として、今後も取組みを強化していくこととしています。

2.M&A業務の体制・体制構築までの道程

(1)M&Aの業務体制

   百五銀行のソリューション営業部は、事業承継・M&A支援課、ストラクチャード・ファイナンス課、コンサルティング課及び資産トータルプランニング課の4つの課から構成されています。(詳細は、下図参照)



 ソリューション営業部は、2019年4月に、「法個一体」、つまり法人と個人の一体営業を進めることと、各部署に分散していた法人関係業務を一つの部にとりまとめることを企図して、従来の地域創生部にいくつかの機能を集約して発足しました。

 取引先の経営トップや役員は、法人の責任者である一方で個人でもあります。そのため、事業承継などは典型例ですが、法人としての悩みと個人としての悩みが、同じ理由に起因することも多く、顧客にソリューションを提供するという意味では、一体での取り組みが効果的となる状況も多く見られます。そのため、法人・個人の…

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

関連記事

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング