[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]

(2022/04/07)

ケアネット ~M&Aによる事業拡大で医師とMR・医薬品会社の更なる強固な架け橋に

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
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1. はじめに

 マールオンラインのWebインタビュー(2022年1月14日) では、ケアネット(東京都)の藤井勝博代表取締役社長COOが、同社創業の経緯や経営方針、また、M&A戦略などについて解説している。筆者はこのインタビューを契機にケアネットに対する関心を強めた読者の一人であり、本稿では同社の事業概要、業績、そして、これまでのM&Aなどについてまとめてみた。

2. 事業概要

 ケアネットは医師・医療従事者向けに医療情報を無料で提供するwebサイト「CareNet.com」を運営しており、これが同社の事業基盤である。

 ケアネットは自社の事業を「医薬DX事業」、「メディカルプラットフォーム事業」、「連結グロース事業」の3つのセグメントに区分している。ここでDXはデジタルトランスフォーメーションの略語である。

 医薬DX事業では「MRPlus®」が主要なサービスである。MRPlus®では医薬品会社が発信する医薬品情報をCareNet.comの医師会員に配信しており、ケアネットは医薬品会社からサービスに対する対価を得るビジネスモデルとなっている。情報が医師に伝わりやすいよう動画で提供され、オンデマンド配信なのでMR (Medical Representativesの略で医薬品会社における医療情報担当者のこと)との面会時間が取りにくい多忙な医師も、都合の良いときに情報を取得することができる。配信後、ケアネットは医師の視聴情報や視聴後の感想、意見などを、担当MR(各医師への営業を担当するMR)のモバイル端末等へ通知することにより、MRの営業活動における生産性向上を支援する。

 メディカルプラットフォーム事業では、有料の学習コンテンツとしてインターネットによる動画配信「CareNeTV」及び配信動画をDVD化した「ケアネットDVD」を、医師・医療従事者に提供している。

 連結グロース事業は連結子会社の経営成績明確化を目的として、2021事業年度に新設されたセグメントであり、医療従事者のキャリア支援及びデジタル広告代理店事業などを行っている。

 連結売上高80億円(2021年12月期)のうち69億円、85.9%を医薬DX事業が占める。この他の事業による売上高は、メディカルプラットフォーム事業3億6400万円、4.5%、また、連結グロース事業7億円6600万円、9.6%になっている。

 同社は2007年、東証マザーズに株式上場。2022年4月にはグロース市場に移行した。

3. スペシャリティ医薬品の広がりが業績向上の要因

 図表1はケアネットの業績推移を示したものであり、ここ数年概ね増収増益を達成してきた。

(図表1)業績推移

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