[クリーンテックと欧米エネルギー企業の最新M&A動向]

(2022/10/18)

【第9回】欧米電力大手、仏エンジー(Engie)のM&A戦略(前編)

出馬 弘昭(IZM代表)
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 これまで8回にわたり欧米石油メジャーのクリーンテック分野におけるM&A動向を紹介してきた。今回から欧米電力大手企業のM&A動向を紹介する。初回は、仏ガス電力大手のエンジ―(Engie)である。

 Engieは2008年に仏国営ガス公社GdFと仏水大手Suezが合併した「GdF Suez」社がルーツだ。2015年にEngieと社名変更し、現在、世界70カ国に事業展開する国際的企業である。

 Engieのクリーンテック分野の活動は、①CVC子会社のEngie New Ventures(ENV)でのスタートアップ投資、および②Engie本体でのスタートアップ投資やM&Aがある。

 エネルギー業界には、「Climate50」というランキングがある。これはクリーンテック分野の投資家のランキングである。クリーンテック分野の投資家であるContrarian Venturesが投資件数やEXIT数などから独自の指標に基づき企業をランキングしている。最新版である2021年は、グロースステージ投資家部門の一位がEnergy Impact Partners、アーリーステージ投資家部門の一位がPlug & Play Ventures、そして、CVC部門の一位がENVであった。ENVは現在、クリーンテック分野で一番アクティブなCVCであると言える。

■ 筆者履歴
IZM代表 出馬 弘昭出馬弘昭(いずま ひろあき)
IZM代表。1983年京都大学工学部物理工学科卒業。大阪ガスに入社し、同社R&DおよびIT部門でデータ分析、行動観察、オープンイノベーション事業などを立上げ。2016年より米シリコンバレーに駐在し、欧米のクリーンテックとのビジネス開発を開拓。2018年に東京ガスに入社し、シリコンバレーのCVC立上げに参画。2021年に帰国し、東北電力に入社し、事業創出部門のアドバイザーに従事。製造業やコンサルティング大手などの外部顧問、海外スタートアップの日本展開支援なども務める。2022年、大阪大学フォーサイトの取締役に就任。南カリフォルニア大学ロボット研究所客員研究員、京都大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師、日本オペレーションズリサーチ学会副会長などを歴任。
大阪大学フォーサイト
https://ou-foresight.com

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