[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2023/05/10)

セブン&アイHDの戦略にみるコンビニ業界の未来

-グローバル化を前提に量と質の好循環を目指す

藤原 裕之((同)センスクリエイト総合研究所 代表)
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コンビニ業界再成長のカギを握るセブン&アイHDの取り組み

 国内コンビニ市場は飽和化が指摘されて久しい。フランチャイズ方式による出店攻勢で急成長してきたコンビニ業界は2019年に店舗数が減少に転じて以降、頭打ち状態が続いている(図表1)。コロナ禍の外出自粛で落ち込んだ販売額はようやく戻ってきたが、従来のような出店攻勢によるものではない。

 2056年には国内人口が1億人を下回ると予想されている。国内コンビニ市場の飽和化は進む一方だ。コンビニ業界がここから再成長するには、以下に示す「店舗価値の向上」と「グローバル戦略」の2つの課題に取り組む以外ない。
  • 店舗の魅力を高め、顧客1人当たりの購買単価と頻度を上げる(店舗価値の向上)
  • 海外市場に新たな成長余地を探る(グローバル戦略)
 上記2つの課題に真正面から取り組んでいるのが業界最大手のセブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイHD)である。コンビニ業界が市場の飽和化を打ち破って第2の成長ステージに移行できるかどうかは、同社の取り組みにかかっていると言っても過言ではない。本稿ではセブン&アイHDの取り組みの実現可能性について考察したい。

図表1 コンビニエンスストアの店舗数と販売額の推移
図表1 コンビニエンスストアの店舗数と販売額の推移

「食」をキーワードに持ってきた中期経営計画

 セブン&アイHDは今年3月9日に2025年までの中期経営計画の内容を修正、アップデートしたものを公表した。内容は以下3つの柱に集約される。...

■ 藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社、一般社団法人日本リサーチ総合研究所を経て、2020年4月より合同会社センスクリエイト総合研究所代表。株式会社東京商工リサーチ客員研究員を兼任。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
ブログサイト「藤原裕之のブログ アートとサイエンスの「あいだ」」を運営。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@sense-create.co.jp

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