[Webマール]

(2023/06/06)

アパレル大手のワールド、政投銀と連携し業界支援・再編に着手

――投資子会社を設立し、新手法の種類株「トラッキング・ストック」を発行

  • A,B,EXコース
ポイント
〇アパレル業界は「二極化」が鮮明に。今後再生案件・事業承継案件が増える可能性が高い
〇DBJとワールドは、種類株「トラッキング・ストック」を活用し、アパレル関連企業等を支援する
〇投資件数は年に1件程度を予定、企業規模は1桁億円前半から数十億円以上まで柔軟に対応
〇2社間でのみ株主となるケースや大企業CVCならば、トラッキング・ストックの活用は有効。呼び水となり、TSの活用が広がる可能性も
投資会社「W&Dインベストメントデザイン」の機能

 総合ファッションアパレル企業の「ワールド(WORLD)」と日本政策投資銀行(DBJ)は3月31日、ワールドグループの「ワールドインベストメントネットワーク」とDBJで折半出資して設立したファンド運営会社である「W&Dインベストメントデザイン(以下「W&DiD」)」を、自己資金での投資を行う投資専門会社とすることで合意した(図表1)。新たな投資専門会社を通じて、アパレル・ファッション業界の企業再生、事業承継支援を目的とした企業投資に取り組んでいく。

【図表1】投資会社「W&Dインベストメントデザイン」の会社概要
企業名株式会社W&Dインベストメントデザイン(W&DiD)
代表取締役田口 敬二郎(ワールド)
本松 真一 (DBJ)
所在地東京都港区北青山三丁目5番10号
株主株式会社ワールドインベストメントネットワーク
 > ワールド100%子会社(WIN)
株式会社日本政策投資銀行
 > 政府100%出資(DBJ)
設立2017年7月
 ワールドとDBJは2017年7月、W&DiDを無限責任組合員(GP)とするLPS(投資事業有限責任組合)形式の共同運営ファンド「W&Dデザイン投資事業有限責任組合(W&Dファンド)」を組成し、この6年間で5社に投資を実施した(図表2)。投資先企業の再生後にワールド本体が投資先企業を買収する事例も出ている。

【図表2】ワールドとDBJによる企業投資の歴史
【図表2】ワールドとDBJによる企業投資の歴史
【図表3】ファンド形式を改め自己資金での投資を行う投資専門会社にする
【図表3】ファンド形式を改め自己資金での投資を行う投資専門会社にする
 図表3の通り、これまでのファンドの投資では、DBJとワールド以外からも有限責任組合員(LP)となる投資家を募り、「W&Dファンド」が企業に普通株による投資をするという手法を採用していた。しかし、今後はW&DファンドのGPであったW&Dインベストメントデザイン(W&DiD)が直接普通株投資をするスキームに改める。W&DiDの株主は、ワールドの100%子会社である「ワールドインベストメントネットワーク」とDBJの2社のみだ。

 事業面で強みを持ちながらも過剰債務等に苦しむコンシューマー企業を対象とした投資に取り組む。投資の件数は年に1件程度が目処。また、過去の支援事例では、1社あたり十億円程度の投資が多かったが、今後は、1桁億円前半から数十億円以上まで柔軟にカバーする。

 ワールドとDBJは、W&DiDを通じて対象企業の株式を取得し、W&DiDによる配当や自己株式取得として投資先の配当益や株式売却益を得る。再生後のエグジットについては、ワールドによる買収や他社への売却など、様々なパターンが想定されるという。

トラッキング・ストックの活用に新しさ

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