[【M&A戦略】M&A戦略立案の要点(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)]

(2021/06/23)

【第7回(最終回)】 ターゲット企業へのアプローチ

木俣 貴光(三菱UFJリサーチ&コンサルティング コーポレートアドバイザリー部 部長 プリンシパル)
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ターゲット企業の選定プロセス

 多角化戦略とは、新規の製品を用いて新規の市場を開拓していく戦略である。多角化戦略は、さらに関連多角化M&A戦略の方向性が決まり、第2回で解説したようにターゲット企業の選定基準が明確化されたら、いよいよ具体的なターゲット企業の選定作業に入る。その作業は、一般に図表1に示すようなステップを踏むことになる。以下、リサーチ以降の各ステップの要点について概観する。

図表1 ターゲット企業へのアプローチまでの流れ

出所:木俣貴光『M&A戦略の立案プロセス』(中央経済社、2019)

①リサーチ
 ターゲット企業の選定基準に基づき、具体的な候補企業を抽出するための情報収集を行う。該当する業界情報や企業データベース、金融機関、社内外の人脈などを駆使し、できるだけ幅広いソースから情報収集を行うことが重要である。

■ 業界情報からのアプローチ

 対象となる事業分野の企業名をまとめて収集するには、インターネット検索はもちろん、業界雑誌、業界新聞、信用調査機関や業界団体による調査レポート、証券アナリストによるアナリストレポートなどを活用する。業界団体のホームページには団体に加盟している会員リストが掲載されているケースもあり、是非ともチェックしておきたい。ターゲットとする業界にどのような業界団体があるかは、インターネットによる検索あるいは業種別審査事典(社団法人 金融財政事情研究会発行)により調べることができる。

 また、社内の購買部門や営業部門などターゲット事業分野の企業と普段から接触のある人たちから情報を集めることも有効である。実際、営業マンから売り案件の情報がもたらされるケースは多い。

 業界の展示会がある場合は、展示会ブースでの情報収集は必須である。ブースにいるスタッフから製品等に関する説明を受けることで詳細な情報が収集できるほか、ブースの様子からその会社の雰囲気、社員のレベルやモチベーションの高さなども感じ取ることができる。

■ 企業データベースの活用

 対象とする業界から候補先企業を機械的に抽出するには、調査会社によるデータベースを活用することが便利である。

 …


三菱UFJリサーチ&コンサルティング

■筆者略歴

木俣 貴光(きまた・たかみつ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コーポレートアドバイザリー部
部長 プリンシパル

大手石油会社、外資系コンサルティング会社を経て現職。20年以上にわたり、大企業から中堅中小企業まで、幅広いクライアントに対して、M&Aアドバイザリー、グループ組織再編、事業承継対策といった資本政策のほか、M&A戦略立案、PMI支援、ビジョン策定、企業再生支援など、資本政策に付随する戦略テーマにかかるコンサルティングに従事。主な著書に、「M&A戦略の立案プロセス」(第14回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)、「企業買収の実務プロセス第2版」、「事業承継スキーム」のほか、実務小説「企業買収」(第6回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)(いずれも中央経済社)などがある。

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