[企業変革手段としてのM&Aの新潮流 Season2]

2022年12月号 338号

(2022/11/10)

第6回:M&Aで実現するESG - ESG戦略を自社の競争優位性に結び付けるためのM&A実行方法とは

中砂 健太郎(デロイト トーマツ コンサルティング ディレクター)
臼井 康介(デロイト トーマツ コンサルティング シニアマネジャー)
  • A,B,EXコース
1. ESGとM&A

 ESG投資、ESG経営など、投資家や企業の視点で「ESG」という言葉を聞かない日はないのではないだろうか。ESGとは、環境(E:Environmental)、社会(S:Social)、企業統治(G:corporate Governance)の3つの頭文字を冠した言葉であるが、ESGという言葉が誕生してからまだ10数年しかたっておらず、その定義は非常に多様で広範である(図表1)。それでも、気候変動や人権などの社会課題が深刻になる中、ESGの観点を投資判断に組み込みこむESG投資、ESGの観点を経営に取り込むESG経営など、ESGは投資家や企業にとって非常に重要な要素となってきている。

<図表1>ESGとは
ESG

(出所)デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

 実際にグローバルでのESG関連の投資金額に目を向けてみると、2020年の約920億ドルから、2021年の上半期だけでも1030億ドルへと急激に増加している。ちょうどコロナ禍であったことも踏まえると、この急増にはESGへの非常に高い関心があることが窺える。また、企業としてESG経営への積極的な取り組みを示すことは、投資家や顧客の評価へつながり、結果としてブランドイメージや企業価値が向上するとも考えられている。このような背景を踏まえて、本稿では、企業にとってのESG経営、及びその実現手段としてのM&Aについて論じていきたい。

 企業にとってのM&Aの目的を、持続的成長の実現や競争優位性を高めることとするならば、

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