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(2024/10/16)

株主優待に買収防衛策の色彩、長期優遇が600社強

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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携帯電話事業を展開するソフトバンクが10月1日付で1株を10株に分割するとともに、株主優待制度を導入した。これまでの10分の1の投資額で単元株主になれ、優待もするとなると、コストもかかる。ほかにも10月1日には62社が株式分割に踏み切った。値上がり益目的以外の個人株主を増やし、「同意なき買収」に備えるのも狙いのようだ。
1割近い実質配当利回り

 ソフトバンクの株式分割の権利付き最終株価、つまり、9月26日終値は1976円50銭だったので、単元未満株売買などを別とすると、投資するには最低19万7650円が必要だった。1株を10株に分割する株式分割によって最低投資金額は2万円未満になり、2026年3月期から、株主に対しては1000円分相当のPayPayポイントが付与される。

 このほかに配当が第2四半期末と本決算期末に4円30銭ずつ、年間で8円60銭支払われる予定のため、100株を保有する単元株主は、2万円弱の投資に対して1年間に860円の配当と1000円分のポイントを合わせて1860円を受け取ることになる。

 投資する株式数を増やしたからといって、受け取れるPayPayポイントは1000円分のまま変わらないため、実質的な配当利回りは保有株数が増えるにつれて低下してしまうが、この優待のもう1つの特徴は、決算期末に株主でありさえすれば優待を受け取れるのではなく、前年度の本決算期末と第2四半期、今年度の決算期末の3回続けて、同一の株主番号で株式を持っていなければ対象にならない点だ。



■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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