近年、
アクティビストの動きが活発化しているのは、日本市場がアクティビストにとって非常に活動しやすい環境になっているからとも言われるが、実際のところ、アクティビストの立場からはどのように見えているのだろうか。ストラテジックキャピタル代表取締役の丸木強氏に聞いた。
Low-Hanging Fruits?
―― 現在、日本はアクティビストから見て、かなり魅力的な市場になっていると言われています。そのような実感はありますか。
「そうでしょうか。もし本当にそうであるならば、なぜアクティビスト戦略で運用する会社がもっと日本に出てこないのでしょうか。やはりアクティビスト戦略で運用することは、そんなに簡単なことではないからだと思います。アメリカにはアクティビストファンドが山ほどあります。もし日本市場が儲かると見たら、日本に”low-hanging fruit”(低いところになっている果実)があるとして、たくさんのアクティビストが参入してくるはずです。しかし、実際に日本市場に本格参入しているところは、バリューアクト、エリオット、サード・ポイントなど数えるほどしかありません。日本企業の経営者を動かすのは大変であり、そんなに簡単ではないということがわかっているのだろうと思います。
アクティビストファンドの数が少しずつ増えているのはたしかですが、日本で著名なアクティビストは、
■丸木 強(まるき・つよし)
1982年東京大学法学部卒業。野村證券入社後、主に日本企業や政府関係機関の資金調達案件の引受、大型民営化企業のIPO、邦銀への資金注入に際しての政府関係機関のアドバイザー、米国企業の日本の上場子会社に対する公開買付代理人などの業務を担当。1999年、M&Aコンサルティング(後のMACアセットマネジメント)の創業メンバーの一人として、日本初となるアクティビストファンドの運用に従事。2012年にストラテジックキャピタルを設立、代表取締役に就任、同年12月からアクティビスト戦略のファンド運用を開始。国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)メンバー。