[M&A用語]
補償
英語 :Indemnification/ Indemnity
M&A契約における補償とは、
表明保証違反、
誓約事項違反その他M&A契約上の義務違反により、相手方が被った損害を填補・賠償することを定める条項をいう。
一般的な株式譲渡の場合であれば、売主は可能な限り補償義務を限定したいと考え、買主は逆に補償を可能な限り確保したいと考えるため、利害が対立する。
実務においては、損害の範囲の限定、請求期間の限定、補償金額の限定などの交渉ポイントが存在する。
補償金額の限定としては、以下の事項が定められることがある。
(1) 補償の上限(cap)
(2) 補償の累計額の下限(basket)。例として以下の2つの方式
① 下限を超過した場合、損害額の全額が補償対象(tipping basket, first dollar basket, threshold)
② 下限を超過した場合、その超過金額のみが補償対象(deductible basket)
(3) 1件当たりの請求金額の下限(de minimis)
特別補償(Special Indemnity)
M&A契約締結時点で既に認識している特定の事項について、買収価格や通常の補償でリスク分担を調整することができない事項について、特別な補償を定めることがある。このような特別な補償条項を
特別補償という。
<参考文献>
(1) 柴田義人他編 『M&A実務の基礎〔第2版〕』 (商事法務, 2018) 104-107頁
(2) 戸嶋浩二他 『M&A契約-モデル条項と解説』 (商事法務, 2018) 158-173頁
(3) 西村あさひ法律事務所編 『M&A法大全(下)〔全訂版〕』 (商事法務, 2019) 212-229頁
(4) 藤原総一郎編 『M&Aの契約実務〔第2版〕』 (中央経済社, 2018) 266-280頁
(5) 森・濱田松本法律事務所編 『M&A法体系』 (有斐閣, 2015) 245-253頁
更新日:2023年06月05日
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弁護士
淵邊 善彦(TMI総合法律事務所 弁護士)
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