[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2016/04/20)

セブン騒動の「表」と「裏」

~セブンは小売業の未来を拓けるか

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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セブンはどこへ向かうのか

 セブン&アイホールディングスの人事が揺れている。鈴木会長は4月7日の取締役会で現COOの井坂社長の交代を求める人事案を提案したが否決され、鈴木会長は辞任を表明することになった。19日の取締役会ではセブン&アイの社長に井坂氏が昇格したが、退任する鈴木会長が最高顧問に就く案は「影響力が残る」として社外取締役が反対するなど、混乱はまだ続いている。

 今回の騒動には「表」と「裏」の2つの側面がある。表側はガバナンスの問題である。ゼロからコンビニ事業を立ち上げ、絶対的な影響力を持ってきた鈴木会長の人事案がはじめて否決されたのはガバナンス機能が発揮されたからである。5期連続最高益を果たした社長に退任を求めるのは独善的で合理的でないという判断である。

 その一方、筆者が今回の騒動を通じて感じるのが「それでセブンはどこへ向かうのか」という疑問である。これが裏の側面である。同社の株式の5%程度を保有する米ファンド「サード・ポイント」は、イトーヨーカ堂の縮小と再編、そごう・西武とバーニーズジャパン、ニッセンホールディングスの売却を求めている。同社がこれまで推し進めてきた百貨店や専門店を取り込むグループ戦略を諦め、好調なコンビニ事業に照準を定めるべきなのか。こうした本質的な問いに対して同社が明確な答えを出せていないのが今回の騒動を通じて明らかとなった。

短期を取るか長期を取るか

 この裏の問題を考えるうえで、まずは・・・


■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

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