[産業構造の変化に対応するM&Aの実務]

2013年5月号 223号

(2013/04/15)

第11回 べンチャ―企業のM&Aと実務の課題

 島田 英海(アーンストアンドヤング・トランザクション・アドバイザリー・サービス ディレクター)
  • A,B,EXコース

   ベンチャービジネスで起業し、IPOを実現、M&Aで事業拡大のステージを迎える、新たな産業を生み出す力は必ずしも大企業だけではありません。ベンチャー企業のイノベーションとベンチャー・スピリットは、日本経済の成長戦略を実現し、産業構造を活性化する大きな可能性を秘めています。本稿ではベンチャー企業のM&Aと実務の課題について、検討してみます。

1. はじめに

   ベンチャービジネスは、特許や独創的なアイデアで新しい技術やサービスを開拓し、特定の分野で世界的なシェアを獲得していくことで、新たな産業を創出する可能性を秘めています。時代のニーズを先取りするベンチャービジネスは、成長性の高い分野で芽を出して、事業の価値を高めていきます。
   今、どのような分野においてベンチャー企業は育っているのでしょうか。日本企業はベンチャー企業に対するM&Aにどのように取り組んでいるのでしょうか。また、ベンチャービジネスの出口において、M&Aの活用はどのように位置づけられるのでしょうか。

2. EOYプログラム

   アーンストアンドヤングではEOY(Entrepreneur of the year)プログラム(起業家表彰制度)を毎年主催し、世界中の起業家を支援しています。世界の著名な起業家、例えば、デル・コンピューターのマイケル・デル、アマゾンのジェフ・べゾスなどが、アーンストアンドヤングが主催する“World Entrepreneur Of The Year”に選出・表彰されています。日本では、2001年よりEOY Japanとしてスターし、全国から新分野で活躍する起業家を選出して、そのアントレプレナーシップを称え、共感を呼ぶロールモデルとして表彰しています。
   これらの起業家が活躍するのは、テクノロジー、ライフサイエンス、環境、エネルギー、小売サービスなどの分野が中心となってきています。日本の成長戦略を担い、新しい産業創出の契機となる可能性を秘めたビジネスとはどのようなものなのでしょうか、EOYの受賞者の事例を引きながら検討を進めてみます。

3. 産業別のベンチャーの機会
 

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