[M&Aスクランブル]

(2017/06/28)

食品スーパー買収を発表したアマゾン

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 6月16日、アマゾン・ドット・コム(以下「アマゾン」)が米国の有力食品スーパー、ホールフーズ・マーケット(以下「WFM」)を現金で買収すると発表した。2017年後半に完了の見込みである。WFMのネットの有利子負債を含めた買収総額は137億ドル(約1兆5000億円)に上る。WFMは食の安全等に配慮した生鮮食品を揃え中高所得者層に人気が高い。売上高は157億ドル(2016年9月期、約1兆6000億円)で米国の他、カナダ、英国を合わせて約460店舗、8万7000人の従業員を擁する。しかし、2016年以降成長が鈍化するとともに株価が下落し、株主からの圧力も強まっていたという。

 アマゾンはこれまでの成長プロセスの中で多くの企業を買収してきた(図表1、図表2参照)。ただ、対象企業の多くがEコマースやウェブ・サービス、IoT関係の企業である。WFM買収が実現すればアマゾンにとって過去最大、かついわゆるリアル企業の本格的な買収になる。

 アマゾンの台頭などによるEコマース拡大が一因となって、数多くの書店や百貨店、スーパーが閉店に追い込まれたと伝えられている。筆者が北米の百貨店、GMS、食品スーパーに属する25社(WFMを除く)の6月15日株価終値と6月20日株価終値を比較したところ、株価が下落した企業は21社を占めた。この間、米国の代表的な株価指数S&P 500は若干上昇しており、株式市場はアマゾンのWFM買収が小売業界に大きな衝撃を与えた様子を映した(文末注1参照)。

 2017年、アマゾンは米国でレジ精算のないコンビニエンスストア「Amazon Go」をオープンした。これについて日本リサーチ総合研究所の藤原主任研究員は、顧客の日常に最も近い「食」を手掛けることで、顧客一人一人の志向や行動をより正確に把握することにつなげるという目的があると述べている(文末注2参照)。恐らくWFM買収にも同様の意図があるものと考えられる。

 また、専門家によれば・・・
 

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