[特集インタビュー]

2016年2月特大号 256号

(2016/01/19)

アベノミクスの「第2ステージ」を読む

 伊藤 元重(東京大学大学院 経済学研究科 教授)
  • A,B,EXコース

伊藤 元重(いとう・もとしげ)
目次

アベノミクスを貫く2つの柱

-- 安倍(晋三)総理は2015年9月、アベノミクスの新たなステージとして「新3本の矢」を打ち出して、今後の経済政策運営の基本に据える考えを明らかにしました。旧「3本の矢」は「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「投資を喚起する成長戦略」の3つで、第1の矢である日本銀行による大胆な金融緩和は日本経済に円安・株高効果をもたらしました。新3本の矢は、「希望を生み出す強い経済」(名目GDP600兆円達成)、「夢をつむぐ子育て支援」(出生率の1.8への回復)、「安心につながる社会保障」(介護離職ゼロ)となっています。しかし、旧3本の矢のうち財政政策、成長戦略については道半ばという受け止め方が多いのではないでしょうか。伊藤先生は、どのようにご覧になっていますか。

「アベノミクスを議論する時に非常に大事なポイントは、第1ステージ、第2ステージというように分けて議論すべきではないということです。アベノミクスに一貫している重要な施策は、『脱デフレ』と『変化・改革』という2つ柱です。脱デフレについては、この後詳しく触れますが、現在進めている改革についても、『岩盤のような規制』を1年や2年という短期間で実現することは容易なテーマではないのです。安倍総理が登場する前は6年間で6人の総理大臣が変わりました。その意味で、1年しか続かない政権よりは、6年続く政権の方が大きな問題に取り組むことができるはずであるということが言えると思います。これも、後ほど触れますが、環太平洋経済連携協定(TPP)もようやく合意が形成されました。TPPの締結は日本経済にとって大きな意義を持っていますが、これは安倍政権が3年近く取り組んできた成果でもあります。

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