[Webインタビュー]

(2017/11/08)

【第88回】【Blue Planet-works】画期的技術の買収を機に、日本発のグローバル・サイバーセキュリティ・カンパニーを目指す

 中多 広志(代表取締役)
  • A,B,C,EXコース


 

吉本興業CFOからベンチャー企業立ち上げへ

――  最近、世界的規模のサイバーテロによる国家あるいは企業の被害が増大しています。2020年には東京オリンピックが迫っていますし、今後の産業界ではデジタル化、IoT化の進展が急速に進むと見られています。そうした中でサイバー攻撃に対する対策は、官民問わず重要な課題となっているわけですが、Blue Planet-works(BPw)は、55億円を超える資金を民間企業から集めて、独自のセキュリティ技術を持つ米Blue Ridge Networks社(BRN)の関連事業を買収して注目されています。中多社長は、吉本興業の元CFOを辞めて起業したということですが、セキュリティ技術については以前から関心があったのですか。

「実は、私は吉本興業に入る前の1988年から97年まで長銀総合研究所に在籍しておりました。長銀総研時代は、米国ニューヨークのメディア専門投資銀行Cowen & CompanyでM&A研修を受け、エンタテインメント、メディア担当アドバイザーとしてコンテンツ・ファンドの組成も担当しました。そんなことが縁で、長銀破綻後の98年から2013年まで吉本興業グループに入ることになったのです。財務や新規事業開発などのほか、取締役CFOになってからは買収案件を担当したり、最後は、元ソニー会長の出井伸之氏が代表を務める投資会社による株式公開買付け(TOB)も吉本側で私が担当しました。吉本興業もTOBで非上場化されるということで、一区切りついたものですから13年に米国の友人とKeepTreeという会社を米国のニューヨークで立ち上げたのです」

――  友人というのはどういう方ですか。

「ジョン(Jonathan B. Loew)という、現在BPwの取締役Chief Markting Officerも務めてもらっている人物です。

  私の長銀総研時代に、あるM&A案件があって、相手企業の弁護士としてお会いしたのが彼のお父様で、当時ニューヨーク州の弁護士協会の会長でした。それをきっかけに私をかわいがっていただいて、公私ともに親しくお付き合いいただく中で、3男であるジョン氏を紹介していただいたのが知り合うきっかけでした。

  ジョン氏は一種の天才で、弁護士の資格も持っていますが、20代からイスラエルや米国の防衛関係協会の理事を務めていたりしました。その彼が、ビデオレターを例えば99年先の指定した日に送ることができるという技術を開発して、『一緒に事業としてやらないか』私に声をかけてくれて、2人で動画メッセージサービスのベンチャー企業KeepTreeを立ち上げたわけです」

革新的サイバーセキュリティ技術との出会い

――  KeepTreeでは、まだサイバーセキュリティの商品化までは考えていなかったのですね。

「KeepTreeの動画送信サービスは、米軍でも採用してもらっていました。例えば、アフガニスタンに出兵している米軍兵士が、来週息子の誕生日で動画メッセージを送ってやりたいと思っても、戦場ですからリアルタイムに動画を送ることはできません。そこで、サイバーセキュリティに強い会社を紹介するからシステムに組み込んでほしいといわれてBRN社を紹介されたのです。偶然といえば偶然です。そのBRN社が政府機関も採用する革新的なサイバーセキュリティ技術、AppGuardという革新的技術を持っていたのです。

  ジョンも、『これはすごい技術だ』と太鼓判を押すほどのもので、AppGuardについては…
 

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