[【企業変革】TSR戦略とESG~どのようにESGを企業価値向上につなげるか(ボストン コンサルティング グループ)]

(2021/10/06)

【第4回(最終回)】日本企業への示唆

加来 一郎(ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&シニア・パートナー)
坂上 隆二(ボストン コンサルティング グループ パートナー&アソシエイト・ディレクター )
グレゴリー・ライス(ボストン コンサルティング グループ パートナー&ディレクター)
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 この連載ではこれまで、ESG(環境、社会、ガバナンス)をめぐる投資家・消費者のトレンド、および企業価値評価やTSR (株主総利回り)にESGが与える影響の重要性を概観したうえで、企業がESGに取り組む上で押さえるべきポイントについて考察してきた。最終回となる今回は、これらを踏まえ、日本企業への示唆をさぐっていきたい。

日本企業の立ち位置

 そもそもESGへの取り組みにおいて、日本企業は海外の企業に対しどのような立ち位置にいるのか。ESGに対する関心の高さという点では、日本企業はグローバルでも先を行っている。たとえば、気候変動関連の情報開示の枠組みを検討するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同企業数では、日本は504社と世界で最も多い(21年9月27日時点)。一方、ESGに関する取り組みへの評価という点では、日本企業は海外企業に比べて遅れをとっているといわざるをえない。FTSE RussellのESG総合評価において、日本企業の平均スコアは2.55点(5点満点)であり、フランスの3.89点、イギリスの3.75点などに大きく水をあけられ、改善の余地は大きい(図表)。

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■ ボストン コンサルティング グループ(BCG)

■ 筆者略歴

加来 一郎(かく・いちろう)
ボストン コンサルティング グループ (BCG) 東京オフィス シニア・パートナー&マネージング・ディレクター。

慶応義塾大学経済学部卒業。住友商事、外資系コンサルティングファーム、PEファンドを経てBCGに入社。BCGプリンシパルインベスター&プライベートエクイティグループのアジア・パシフィック地区リーダー、同コーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。戦略策定・買収プロセス・買収後の価値創出を約20年にわたり支援。

坂上 隆二
(さかうえ・りゅうじ) 

ボストン コンサルティング グループ (BCG) 東京オフィス パートナー&アソシエイト・ディレクター。京都大学法学部卒業。パリ第二大学国際関係学修士、仏国立行政学院(ENA)国際行政課程修了。外務省を経てBCGに入社。BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループおよび同プリンシパルインベスター&プライベートエクイティグループのコアメンバー。企業価値向上に向けた戦略策定やM&A/PMIの実行を支援。



Gregory Rice
(グレゴリー・ライス) 

ボストン コンサルティング グループ (BCG) ニューヨーク・オフィス パートナー&ディレクター。ヴァンダービルト大学経済学部卒業。BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。アクティビスト対応および企業価値向上支援のエキスパート。 投資銀行およびヘッジファンドで30年を超える経験を積んだのち、BCGに入社。

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