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[【企業変革】ポストコロナ時代の経営アジェンダ ~ ゲームのルールが変わる瞬間 ~(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)]

(2020/12/03)

【第6回】コーポレートガバナンス

汐谷 俊彦(デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員)

ROE=ESGの幕開け

 2014年に発表された「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」(伊藤レポート)の中で掲げられたROE(自己資本利益率)8%の目標に向けて、日本企業はかなりの意識を払って経営をするようになってきました。続編として発表された伊藤レポート2.0において取り上げられた通りESG (Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)が重視されるようになったことはいうまでもありません。ESGの考え方が投資家の責任として語られるようになったこと、金融危機を経て長期投資家の存在が高まったことから企業の存在意義が改めて問われるようになりました。


 ROEとESGは二項対立するように思えますが、ROEとESGが一定の割合で相関していることは、近年の実証研究でもたびたび指摘されています。ROEが高いのでESGをしっかりやるのか、ESGが高いからROEも高まるのかは結論が出ていない問題ですが、少なくとも片方だけが高いというのは成り立たない時代に来ています。今後のポストコロナの時代においては、ROE≒ESGからROE=ESGの時代になっていく、つまり、ますますその相関係数が高まっていくのでは、と考えています。コロナはあらゆる変化を加速させましたが、ESG重視のトレンドもその一つです。株主利益と他のステークホルダー利益の関係が相反するものではなく、長期的にステークホルダーの利益を実現することが株主利益の実現にもつながることは、今回のコロナ禍を経てさらに明確なトレンドになってくるのではないでしょうか。即ちESGを過小評価していては、株主へのリターンは高まらない、そういった資本主義の進化の大きな転換点になったのがこのコロナ禍だと思います。


取締役会はパーパス(存在意義)を再確認する~経営理念のモダナイゼーション

 コーポレートガバナンス・コードには取締役会の責務として、経営理念を確立することがうたわれています。(以下抜粋)「【原則4-1取締役会の役割・責務】取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)を確立し、戦略的な方向付けを行うことを主要な役割・責務の一つと捉え、具体的な経営戦略や経営計画等について建設的な議論を行うべきであり、重要な業務執行の決定を行う場合には、上記の戦略的な方向付けを踏まえるべきである。」

 経営理念がない会社はありません。それぞれの会社に、創業者の哲学や会社の歴史や想いがつまった理念が掲げられています。問題はそれが有効にフル活用されていないことだと思います。極端な例でいうと、経営理念が社長室の額縁に飾られているような、遠い存在にとどまっており、多くの社員、顧客、社会を含めたステークホルダーに幅広く浸透していないことなのだろうと思います。今求められているのはその経営理念のモダナイゼーションとリバイバルでしょう。

 コロナ禍は様々な出来事の本質をさらけ出すことになりました。変えること変えないことを改めて明確にして、これから社会、企業を支えるミレニアル世代、Z世代の心にひびくようなモダナイゼーションが必要と感じています。このタイミングだからこそ、いわゆる経営理念(パーパスといってもよいでしょう)に立ち戻ることは時宜にかないます。歴史のある企業というのは、過去に何度も危機をくぐりぬけ、そのたびに創業者の理念や、パーパスに立ち返る作業を繰り返してきており、極めて長期的な目線で、経営理念が本物であったことを証明してきているはずです。...

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社

■筆者略歴

汐谷 俊彦(しおたに・としひこ)
外資系コンサルティング会社等を経て現職。製造業/テクノロジー/エネルギー/化学/ヘルスケア/商社など幅広い業界に対して成長戦略策定、事業ポートフォリオ見直しといった戦略面での支援や、M&A戦略策定に始まり、デューデリジェンス、PMI計画策定および実行支援・買収後のオペレーション改善といったM&Aライフサイクル全領域において幅広い経験を持つ。特にクロスボーダーM&Aやカーブアウト買収といった複雑で難易度の高い案件を数多く手掛けている。また、日系企業による海外企業の買収を契機に、その後のグローバル化に向けたトランスフォーメーション支援や、買収後の海外企業のターンアラウンド、ガバナンス改革などの案件も支援している。東京大学工学部卒。

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