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2017年02月09日(木)
【第78回】グローバル展開する日本企業が抱えるコンプライアンス・リスクと対応策

 足立 桂輔(KPMGコンサルティング パートナー)
 水戸 貴之(同、マネジャー)

質・量の両面で変化する海外リスク ―― KPMGコンサルティングは、グローバルに事業を展開する日本企業が直面する法規制リスク、コンプライアンス・リスクに対応するために、従来から提供しているグローバルなコンプライアンス・プログラムの策定・展開支援に加えて、法務部門・コンプライアンス部門における組織・人員構成の配置見直しや業務プロセス設計、危機発生時の対応支援等に関するアドバイザリーサービスの提供を開始しました。例えば日本企業のM&A動向を見ても海外企業買収の件数が増えているのですが、そうした企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。 足立 「企業にとって、進出先国・地域の法規制への対応は当然ながら必須です。加えて近年、贈収賄規制や競争法・独占禁止法に基づく摘発が強化される傾向が世界的に見られます。個人情報保護、営業秘密管理等の情報管理に関するルール・枠組み作りも各国・地域で進んでいます。すなわち、法規制リスク、コンプライアンス・リスクは、その質と量の両面において変化し続けています。  そうした変化にコーポレート・管理部門の整備・見直しが追いついていない企業が多く見られます。法務部門、コンプライアンス部門においては、その傾向が顕著です。特に海外現地法人では、そうした法務・コンプライアンス機能がほとんど存在しないということも珍しいことではありません。企業として抱えているリスクに対応する体制が充分ではないというのが実態だと思います。  また、日本企業の多くは、法令等を“守ること"“遵守すること"につき形式面に重きを置きすぎていて、それを運用していくという感覚が弱いように思います。例えば、しっかり法律を調べたか、社内規程に瑕疵はないかといった点を重視しすぎていて、現場の業務にきちんと本社の方針が落とし込めているのか、事業の現場ときちんと連携をとってリスクが実際に軽減できているのか、といったところが弱いように思います」 ―― 特に新興国で事業を展開する時に戸惑いが多いようですね。 足立 「新興国の場合、法律が朝令暮改で変わったり、あいまいでよく分からないといったことがよくいわれます。こうした環境下では、やはり形式的なコンプライアンスではなく、いかに実際的にリスクを減じるかというところが強く問われることになります。  また、役人が平然と金銭・便益等を求めてきて対応に苦慮しているという話もよく聞きます。その対応において、役人の要求に従わないと事業がうまく回せないのではないかという現場の悩みに対し、ただ「ルールを守って断れ」と言ってしまうのは、現場にリスクを丸投げする無責任な対応と言われてしまっても仕方がないかと思います。それを言われた現場が、法令を守りたくても事業を回すための必要性・プレッシャーから裏で賄賂を渡してしまうという結果になりかねません。コンプライアンス・リスクに適切に対応するためには、丁寧な現場理解と対応が不可欠だと考えます」 水戸 「新興国での賄賂のリスクは、当該国における摘発だけにとどまらないということにも注意する必要があります。例えば、賄賂行為につき、米国となにかしらのつながりがある場合、当該国の賄賂規制のみならず、米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)でも罰せられて数十億円以上の罰金を課されてしまったケースもあります。賄賂規制のみならず、独占禁止法や個人情報保護規制でも、当該国の外における行為等への法令の適用が進んできており、グローバル全体でのコンプライアンス対応が必須になっています。  また、日本の自動車部品メーカーが、米国や欧州、中国などで国際カルテルとして摘発されて巨額の罰金を課されたり、関与した日本人幹部が禁固刑となって日本の産業界に波紋を広げたことは記憶に新しいところです。多くの日系企業は、そういった事態を受けて、グローバルレベルで法務・コンプライアンスの体制を作っていかねばならないということに気づき始めている段階なのではないかと思います。海外子会社の管轄責任が明確でなかったり、海外のコンプライアンス・リスクについて、「そうはいってもリソースの都合もあるし、今まで大丈夫だったから」、あるいは「自分の会社は法令を守れと指導しているし、しっかりした人を現場に送っているから」、漠然と大丈夫だろうと思いこんでしまっているのではないかと感じることがあります」 環境変化を織り込まずに見切り発車 ―― 海外に進出する場合だけでなく撤退しなければならないというケースもあります。例えば、日本の企業が中国から撤退する時に苦労するという話をよく聞きますが、こうした場合はどのように対応すべきですか。 足立 「一言で言えば…  

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