髙島屋が金融事業の拡大に力を入れている。
2024年4月に発表した中期経営計画によれば、23年度に46億円だった金融事業の営業利益を3年後の26年度に53億円まで伸ばし、グループの営業利益に占める「百貨店事業」と「商業開発・金融・その他事業」の比率を23年度の61%:39%から、31年度には53%:47%とする方針だ。
髙島屋はこれまで、2020年にクレジットカード事業の髙島屋クレジットと保険代理事業の髙島屋保険の合併により髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ(TFP)を設立し、同年中にTFPとSBI証券の業務提携を実施した。さらに「ほがらか信託」への出資を行い、店舗内カウンターで資産の運用・承継のアドバイスができる体制を整えた。その後も2022年に住信SBIネット銀行との業務提携により銀行アプリの「髙島屋ネオバンク」を開始するなど、金融領域でのサービス拡大を続けている。
そうした中、同社は2024年6月に大阪市のIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)ヴァスト・キュルチュールの子会社化を発表、金融事業のさらなる成長に向けた取り組みが実行に移された。
髙島屋の執行役員で金融事業推進プロジェクトリーダーを務める平野泰範氏に、金融事業に積極的に取り組む背景とヴァスト・キュルチュール子会社化の狙いを聞いた。
グループにない知見を外部から取り込む
―― 髙島屋では金融事業を百貨店事業、商業開発事業に次ぐ「第三の柱」に位置付けています。その背景を教えて下さい。
■平野 泰範(ひらの・やすのり)
2016年5月㈱髙島屋入社。2019年9月㈱髙島屋 企画本部経営戦略部金融事業推進プロジェクトリーダー。2020年3月㈱髙島屋 執行役員企画本部金融事業推進プロジェクトリーダー(現任)。