[特集インタビュー]

2018年7月号 285号

(2018/06/15)

【スカイマーク】佐山展生会長が語る「民事再生申請から約1年で黒字転換を実現させたもの 」 ~定時運航率日本一への軌跡~

  • A,B,EXコース
佐山 展生(さやま・のぶお)

佐山 展生(さやま・のぶお)

1976年京都大学工学部高分子化学科卒。94年ニューヨーク大学MBA取得。99年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了(学術博士)。76年帝人においてポリエステルの重合に関する製造・生産技術開発および新製品の研究開発に従事。87年三井銀行(現・三井住友銀行)入社、M&Aアドバイザリー業務担当(90年~95年ニューヨークで米州部M&Aチームの統括。その後、M&A専門部の企業情報部部長)。98年代表取締役パートナーとしてユニゾン・キャピタルを共同設立、東ハト、キリウなどへ出資。2004年4月GCAを共同設立し代表取締役パートナー就任。05年10月メザニン代表取締役就任。07年インテグラル共同設立し、取締役パートナー就任、08年3月からはインテグラル代表取締役パートナー(現任)。また、04年4月一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、05年4月同教授、18年4月一橋大学大学院経営管理研究科客員教授(現任)、10年京都大学経営管理大学院客員教授(現任)。

2016年3月期には営業黒字達成

 2015年1月28日に民事再生手続の申し立てを行った国内3位の航空会社スカイマークの業績が急回復している。14年3月期の単独決算で営業赤字転落に追い込まれ、経営危機に直面した同社だったが、早くも16年3月期には15億円の営業黒字を達成して同年3月28日には民事再生手続を終結させた。その後、17年3月期も67億円の営業利益を計上するなど順調に業績拡大が続いている。

 それだけではない。18年1月に国土交通省が公表した17年度上半期(4~9月)の定時運航率(出発予定時刻以降15分以内に出発した便数の割合)と欠航率(運航予定便数に対する欠航便の割合)で、スカイマークは定時運航率92.59%となって、国内航空会社11社中1位。また、欠航率も0.4%で、もっとも欠航しにくい航空会社としても1位を獲得するなど、航空会社としての信頼性でもトップの実績を獲得するまでになった。

 このスカイマークの再建に名乗りを上げたのは独立系プライベートエクイティ(PE)ファンドのインテグラルのほか、ANAホールディングス(HD)、日本政策投資銀行(DBJ)、三井住友銀行(SMBC)。

 15年9月から元DBJ常務の市江正彦氏が社長、インテグラルの佐山展生代表取締役パートナーが会長に就任、ANAHDから整備担当など2人が取締役に就き、スカイマークの新体制がスタートした。*

*スカイマークの民事再生の経緯については月刊「MARR」2016年1月号「インテグラル 佐山展生氏が語る『スカイマーク再建』」を参照。

スカイマーク 民事再生手続きの推移

 スカイマークを早期に黒字転換に導いた再生策とはどのようなものだったのか。市江社長とともにスカイマークの経営再建の陣頭指揮を執ってきた佐山展生会長に聞いた。

<インタビュー>
“定時性日本一”を掲げ、目標に向かって全社一丸で取り組んだ成果

 佐山 展生(スカイマーク代表取締役会長、インテグラル代表取締役パートナー)

スカイマーク再生のカギを握るもの

―― スカイマークは2015年1月28日に民事再生手続の申し立てを行い、9月から佐山会長、市江正彦社長を中心とした新経営体制がスタートしました。その後、早くも16年3月期には15億円の営業黒字を達成し、16年3月28日には民事再生手続を終結させました。その後、17年3月期も67億円の営業利益を計上するなど順調に業績向上が続いています。
 佐山会長には、スカイマークの再生支援に入った時に、勝算があったのですか。

「民事再生になった原因は、はっきりしていて、

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事