[M&Aスクランブル]

(2023/01/11)

日本電産:M&A巧者は工作機械でもトップを目指す

マール企業価値研究グループ
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 2030年度に売上高10兆円達成を標榜する日本電産はM&Aを通じて成長を遂げてきた。1984年以来70件近い数のM&A(同社HPより)を実現、今や押しも押されぬ日本を代表する総合モーター会社となった。同社のM&Aでは経営上問題のある内外企業を買収することが多いが、特筆されるのは、ただ買収してトップラインの拡大を目指すのではなく、安易なリストラ(人員削減)に走らずに短期間で収益の上がる企業に変身させる点である。

 これまでの買収案件の中心となっていたのは、モーター関連や半導体関連、制御回路関連といった分野であったが、近年注力しているのが工作機械分野である。工作機械メーカーの買収に2025年度までに1500億円を投資するとの目標を設定、2021年には三菱重工工作機械(現日本電産マシンツール)、2022年にはOKK(現ニデックオーケーケー)を買収した。そして直近ではイタリアの工作機械メーカーであるPAMA(パーマ社)の買収方針を決定した(報道によると買収金額は150億円程度)。同社は90年超の歴史を持つ老舗で重電や造船業界など重厚長大産業向けの大型工作機械(横中ぐり盤)を製造している。

 今回のPAMAの買収で、これまで日本電産のラインアップになかった中ぐり盤を揃えることができ、製品品ぞろえが拡充できる。また、PAMAの販路は、欧米や中国、インドで充実している。上記の工作機械子会社2社が国内中心(例えば日本電産マシンツールの歯車工作機械の国内シェアは60%)であり、海外進出に遅れていることを考えると、これら子会社3社が協働することで世界の市場の成長取り込みが可能になる。…


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