[マールインタビュー]

2015年9月号 251号

(2015/08/17)

No.178 学問と実務での知見を融合してIFRSを考える

 秋葉 賢一(早稲田大学 商学学術院 大学院会計研究科 教授)
  • A,B,EXコース

秋葉 賢一(早稲田大学 商学学術院 大学院会計研究科 教授)

<目次>

[1]修正国際基準の採択

削除・修正は2点に絞る


-- 国際会計基準(IFRS)のエンドースメント手続(自国基準へIFRSを取り込む手続)が進んでいます。先生もその作成作業に関与されています。

「金融庁の企業会計審議会が2013年6月に公表した『国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針』が出発点になっています。そこで、国際会計基準審議会(IASB)が公表したIFRSを一つ一つ吟味し、必要があれば一部の基準を削除または修正して採択するエンドースメントの仕組みが導入されることになったのです。具体的な検討作業は、会計基準の策定能力を有する企業会計基準委員会(ASBJ)が行うことになり、私もその作業部会のメンバーとなっています。1年近く議論し、14年7月に修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の公開草案を公表しています。15年中には、ASBJで承認された同基準が金融庁から日本で利用できる会計基準として認められると思われます」

-- 修正国際基準はどのような削除・修正をしたのですか。

「我が国で受け入れ可能かどうかを判断した結果、削除・修正は、どうしても受け入れらない二つに絞られました。一つは企業結合で生ずるのれんの処理の問題です。IFRSでは、のれんについては償却をせず、減損のみを行うとしています。しかし、のれんは、対価を払って購入した資産の一部です。会計的にいえば、投資原価の一部です。土地のように減価しない資産なら償却する必要はないのですが、通常、のれんは、時間とともにその価値が減少すると考えられるので、償却する必要がある資産と受け止められています。それで、この部分は削除・修正し、日本基準と同じようにすることにしたのです」

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