[寄稿]

2016年6月号 260号

(2016/05/19)

M&Aをめぐる米国規制当局の近時の動向

 木下 万暁(サウスゲイト法律事務所・外国法共同事業 弁護士・カリフォルニア州弁護士)
 エリック・マークス(サウスゲイト法律事務所・外国法共同事業 外国法事務弁護士・カリフォルニア州弁護士)
  • A,B,EXコース

1. はじめに

  米国でのM&Aを取り巻く規制環境が大きく変わろうとしている。企業の活動が国際化し、テクノロジーが進化するにつれて、米国はその国益を守るために規制を強化してきた。その中でも、国防上の安全保障を目的とする取引の規制、独占禁止法上の規制、そして、米国の税収を確保するためのいわゆるインバージョン規制について、近時様々な取引事案がニュースをにぎわせている。今回は近時の具体的な案件とともにこれらの規制に焦点を当ててみたい。

2. 国防上の安全保障を理由とする規制: CFIUSの動向

(1) CFIUSとは


  CFIUSという言葉を聞いたことがあるだろうか。CFIUSとは、the Committee on Foreign Investment in the United Statesの略で対米外国投資委員会と訳されることが多い。このCFIUSは、司法省、国防総省、国土安全保障省等をはじめとする9つの連邦政府機関の代表者により構成されている。米国企業の支配権を海外投資家が取得するような取引を審査の対象とし、これらが安全保障上の懸念を生じさせる場合等に審査を行うとともに、必要に応じて投資を禁止することができる。日本では、いわゆる外為法上の対内直接投資にかかる審査がこれに類似しているが、米国連邦政府に与えられている権限は日本の手続きにおけるそれよりはるかに広範である。

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