[視点]

2021年5月号 319号

(2021/04/15)

企業グループの多様性とその変化

大坪 稔(九州大学大学院経済学研究院 教授)
  • A,B,EXコース
1. はじめに

 現在、大企業の多くが一つの会社のみで事業活動を行っているわけではなく、子会社や関連会社などの関係会社を有し、企業グループとして事業活動を行っている。しかしながら、子会社の数については企業ごとに大きく異なる。一方、子会社といっても親会社が100%議決権を所有する完全子会社もあれば、資本提携や上場したために他企業などに議決権の一部を所有されている子会社も存在する。
 このように、現在、大企業の多くが企業グループとして事業活動を行っているとしても、その様態については多様性がみられる。そこで、本稿では、(1)日本の企業グループがどのような様態にあったのか、(2)それが時間とともにどのように変化してきたのかについてみてみる。具体的には、企業グループの様態を把握するために企業グループに占める子会社の割合(総資産連単倍率)と少数株主持株比率(少数株主持分額/連結総資産額)のデータを用い、連結決算が本格的に導入された2000年3月から現在までの変化についてみてみる。


2. サンプル

 2000年に3月決算であった上場企業のうち、日経業種中分類コードで銀行業、証券、保険、その他金融に属する企業を除く2833社を対象とする。これらの企業が20年間でどのように変化していったのかを把握することを目的としているため、分析期間中に新たに上場した企業については分析対象としていない。一方、これらの企業が分析期間中に倒産やM&Aなどにより上場企業でなくなった場合には、当該年よりサンプルから除外している。データは、NEEDSのFinancial Questより得ている。

 図1は、サンプルの業種を示している。サンプルが3月期決算の企業に限定されているため、キヤノンのような12月決算の企業やセブン&アイホールディングスのような2月決算の一部の企業はサンプルから除外されているものの、サービス業が最も多く、商社や電気機器が上位に位置する点でおおむね上場企業の業種分布と同様である。


3. 企業グループの変遷

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