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[編集長インタビュー]

2018年5月号 283号

(2018/04/16)

宮島座長が語る経産省「海外M&A研究会」報告書のポイント 

~海外M&Aを活用して成長を志向する日本企業を後押しする

宮島 英昭(早稲田大学商学学術院教授・早稲田大学高等研究所所長/経済産業省「我が国企業による海外M&A研究会」座長)


1. 海外M&A研究会の概要

―― 海外M&A研究会の報告書が出されました。

 「日本企業の海外M&Aは近年、件数、金額規模ともに拡大しています。2010年からの増加は円高の効果もあったでしょうが、2013年のアベノミクス政策のもと、円安基調となっても海外M&Aの増加基調は変わりません。増加している要因の1つは、国内の市場機会がこれ以上拡大する見込みがなくなっている一方で、企業がガバナンス改革の成果も含めて収益性を回復し、結果として企業の中に内部留保がたまり、その資金の有効な利用先として海外M&Aが脚光を浴びているようなところがあります。他方で、これまでに実施された海外M&Aにおいて、特に昨年の半ばぐらいまでにいくつか大きな減損事例が目立ち、海外M&Aはリスクが大きい投資であることが注目されるようになりました。こうした海外M&Aの増加と減損事例の発生を背景として、今後の海外M&Aを適切な方向に進めていくにはどういうことが考えられるのか、どういうことが必要なのかについて関心が高まり、これを捉えて経済産業省としては、ことの性格上、政府が何か明確なガイドラインを出すのではなくて、企業の意思決定をサポートするために、海外M&Aに関連する知見を広く集めて、M&Aをすでに実施している企業、これからM&Aに取り組んでいく企業に対して参考となる材料を提示するという意図で研究会が設置されました」

―― 研究会ではどのようなことが議論されましたか。

 「弁護士などの実務家、研究者などM&Aに関する有識者が委員となり、毎回、海外大型M&Aを実施した企業を招いてインタビューを行いました。また、事務局が直接企業に出向き、ヒヤリングも行いました。さらに、フィナンシャルアドバイザー(FA)や弁護士など実務家の情報交換会や、経団連にもご協力いただいてM&Aを実施した企業を中心にアンケート調査も行いました。基本的には企業が実施した海外M&Aの成功事例、失敗事例や実務家の知見・ノウハウを広く集めて、成功事例では、どういう企業が比較的うまくいっているのか、それはなぜか。減損や場合によっては撤退したような事例ではどこに問題があったのか、などを議論しました。海外M&Aの実施にあたって成功の確率を高めていくのが狙いで、これだけは対処しておかないと問題が生じてしまうという『成功の必要条件』に近いものを解明することが、1つ、もう1つは、M&Aは目的も多様ですし、企業によってそれぞれM&A案件は特性がありますので、これさえやればよいという1つの解やモデルはない訳ですけれども、どういうことが成功のカギになっているかという『成功の十分条件』らしきものの共通の傾向を導き出し、ポイントの整理をすることが狙いでした。

―― 研究会の一環として、公開シンポジウムも開催されました。

 「研究会での議論の途中経過を報告し、海外M&Aが企業の成長戦略のなかでどういう位置にあって、どのような重要性を持っているかを明らかにした上で、海外M&Aの成功の1つの実例として日本電産の永守重信会長にご登壇いただき、その経験をお話しいただきました。また、企業のトップや実務担当者、FAの方々にご参加いただいて、公開の場でM&Aをめぐる重要な論点について議論いただくことを試みました。この内容は一部ウェブページで公開されていますhttps://www.rieti.go.jp/jp/events/17112901/handout.html

―― 報告書のほかに報告書サマリー「海外M&Aを経営に活用する9つの行動」が出ています。

 「先ほど申し上げたとおり、政府が明確なガイドラインを出すというのはあまり適切ではなくて、むしろ、海外M&Aを考えている企業経営者のヒントになるような行動指針を提示することを念頭に報告書を作成しました。海外M&Aにおいて経営トップが果たす役割はたいへん大きいわけです。特に、買収の実行局面のみならず、その『前』と『後』の重要性を認識し、統合後の経営まで中期的にわたり腰を据えてコミットしていくことが重要で、この覚悟が海外M&Aを活用したグローバルな企業成長に向けた『9つの行動』の出発点です。サマリーですから読みやすく、忙しい経営者でも移動中や時間があいたときに目を通してもらえます」


2. 日本企業の海外M&Aの現状

―― 研究会を通じてわかった日本企業の海外M&Aの状況を教えてください。

 「レコフのデータや資料からもわかっていることですが、・・・

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