レコフデータは1985年以降のM&Aデータベースを構築しています

キーワード 一覧

[Webインタビュー]

(2018/10/05)

【第97回】【メディアドゥホールディングス】電子書籍取次シェア第1位の出版デジタル機構を買収した狙いと今後の戦略

藤田 恭嗣(代表取締役 社長執行役員CEO)
foto

3年がかりで考えた買収

――  メディアドゥは2017年3月、電子書籍取次シェア第1位の出版デジタル機構*の株式70.52%を79.4億円で産業革新機構から取得し子会社化(その後6月に完全子会社化)しました。当時、電子書籍の取次事業は出版デジタル機構、メディアドゥのほかモバイルブック・ジェーピーの3社で市場のほとんどを占めていた状況。2位のメディアドゥが1位を飲み込むという形になったわけですが、思い切った決断でしたね。

*出版デジタル機構は、書籍のデジタル化の促進を掲げて2012年4月に小学館、講談社、集英社など出版11社が発起人となり設立され、凸版印刷、大日本印刷、政府系の投資ファンド会社である産業革新機構が共同出資。

「自分としては3年がかりで考えてきた案件で、まさに社運を賭けた買収でした。出版デジタル機構の年間売上高が約200億円で1位、弊社は売上高が約155億円で2位でした。通常は、2位の会社と3位の会社が合併して1位に対抗するものですが、インターネットビジネスは環境変化のスピードが速いため、思い切って1位を買収する決断をしました。これにより、電子書籍市場における流通額の約30%は弊社を経由して販売されることになりました」

大学3年時に起業

――  電子書籍業界で断トツ1位の取次になったわけですが、当初からこの事業を目指していたのですか。

「いえ、ここまで来るのには紆余曲折がありました。名古屋の名城大学3年の時に、大学卒業後の留学費用の800万円を稼ぐ手段として携帯電話の販売等を手掛ける事業を立ち上げましたが、結果的に留学よりも事業続けると判断し、1996年4月に大学卒業と同時に『有限会社フジテクノ』を設立しました。99年には携帯電話を販売する店舗展開及びインターネットサービス事業を目的としてメディアドゥを設立し、2001年に完全にIT分野へと事業の軸足を移すべくメディアドゥがフジテクノを吸収合併しました」

音楽配信を通じて蓄積したノウハウを活かして

――  今の電子書籍の取次事業というビジネスモデルになるまでにはどういう変遷があったのですか?

「私の中で転機となったのは、99年の、ある監査法人の先生との出会いです。このとき“上場"というキーワードを初めて聞き、自分も“上場"にチャレンジできることを知りました。それまで事業のことも経営のこともよくわからず、手探りでやってきていたのですが、もっときちんとした経営体制をつくらないといけない、スケーラビリティが高い、可能性のある魅力的な事業をつくらないといけないと考え始めるようになりました。携帯電話の販売だけをやっていてもスケーラビリティの伸びも期待できず、上場も難しいのではないかと考え、携帯事業を売却。インターネット事業で挑戦をしようということでモバイルの検索サイトを立ち上げたのです。

  ところが、アクセスは順調に増えていたものの、それに耐えうる技術力がなく頻繁にサービスが止まってしまうなどたくさんの方々にご迷惑をおかけしてしまいました。この状態で検索サイトを続けるのは難しいと考え、様々模索した結果、行き着いたのが音楽配信事業です。着メロではなくて、音楽の原盤をレコード会社から借りてきて配信するものでした。自分たちで作って日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録さえすれば事業展開できる着メロに対して、原盤ものは完全な著作物なので必ずライセンサーと契約をしなければなりません。この事業を通じて著作権ビジネスの面白さを感じました。

  売上も順調に伸び05年には月商で1億円ぐらいになっていました。そのタイミングで、マーケット全体を俯瞰して考えてみたのです。当時のマーケット規模は約1000億円でした。弊社の年商は約10億円という規模でしたから、シェアはわずか1%しかない。今後変化する環境の中で勝ち残っていけるのかと考えた時、数年後に当社が10%までマーケットシェアを伸ばせる姿は描けませんでした。このままでは社会の流れに飲み込まれる程度の事業しかできないと思ったのです。そこで、音楽配信事業の利益を次の事業への投資に向けようと方針転換しました。

  私たちはベンチャー企業で、少人数で運営していましたので、全く違う事業をやることはまず難しい。そのため、サーバー技術や著作権の扱い方など、音楽配信を通じて蓄積したノウハウを活かしたインフラを作り、提供することによって著作権ビジネスの分野でおもしろいことができないかと考えたのです。そして最終的にたどり着いたのが電子書籍でした。電子書籍の配信サービス自体の開始は06年でしたが、取次モデル、流通モデルの基盤は当社の中で既に出来上がっていたのです」

電子書籍市場の拡大を予想

――  国内電子書籍市場は雑誌を含めて15年度には約1826億円に達し、20年度には3275億円*に拡大するものと予測されています。マーケットの広がりについて当時どう考えていたのですか。

*出所:インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告書2018」

「絶対に広がっていくだろうと思っていました。当時はコンテンツの許諾数が少なく、それが、市場がなかなか伸びない原因の一つだったのですが、それには2つ理由がありました。

  1つは…



続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。
ご登録がお済みでない方は、「会員登録」からお申込みください。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。その他の方は会員登録して下さい。

[無料・有料会員を選択]

会員登録

バックナンバー

おすすめ記事

OKT有限責任事業組合など4ファンド、21LADY<3346>に資本参加

速報・トピックス

[座談会]現場から見たASEANのM&A成功の条件

座談会・インタビュー

[対談・座談会]

[座談会]現場から見たASEANのM&A成功の条件

 梅津 英明(森・濱田松本法律事務所 パートナー 弁護士)
 小黒 健三(やまと監査法人 パートナー、アクセルパートナーズ 取締役 公認会計士)
 塚本 信三(昭和電工 戦略企画部 グローバルビジネスプロジェクトリーダー)
 (50音順)
 (司会・構成)丹羽 昇一(編集長)

M&A専門誌 マール最新号

アクセスランキング

M&A専門誌マール

M&A専門誌マール

「MARR(マール)」は、日本で唯一のM&A専門誌で、「記事編」と「統計とデータ編」で構成されています。

レコフM&Aデータベース

レコフM&Aデータベース

「レコフM&Aデータベース」は、日本企業のM&Aなどどこよりも網羅的に、即日性をもって構築している日本で最も信頼性の高いデータベースです。

セミナー

セミナー

マールの誌面にご登場いただいた実務家、研究者などM&Aの専門家を講師としてお招きし、成功に導くポイント、M&Aの全体プロセスと意思決定手続き、実証研究から見た分析などについてご講演いただきます。

SPEEDA RECOF

SPEEDA RECOF

「SPEEDA RECOF」とは「レコフM&Aデータベース」と株式会社ユーザベースが開発・運営する企業・業界情報プラットフォームである「SPEEDA」がシステム連携します。

NIKKEI TELECOM日経テレコン 日経バリューサーチ

日経テレコン

2002年7月に、日本経済新聞デジタルメディアが運営する日経テレコンの「レコフM&A情報」を通じてM&Aデータの提供を開始しました。

M&Aに関するお問い合わせ、ご相談は
こちらからお気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせフォーム