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(2020/08/18)

欧米企業のリスクマネジメント手法とは ~リスクファイナンスと保険手配における欧米と日本の違い

池島 勝利(マーシュブローカージャパン株式会社 マネージングディレクター)
 欧米では古くからリスクマネジメントが定着しているが、その大きな理由として物言う株主が多く存在することが挙げられる。つまり彼らは、株主価値を重視し、積極的に株主提案を行うことで企業価値の向上を図るのだ。最近では企業だけでなくステークホルダーの価値にまで範囲が広がっている場合も多い。そのため、リスク対応策が万全ではない場合や、説明責任が果たせない場合は役員の進退問題にまで発展することから、リスクマネジメントの確実な運用が非常に重視されている。そうした欧米企業のリスクマネジメントの手法について運用面に焦点を当てて特徴を解説するとともに、リスク対応策として重要なポイントとなるリスクファイナンスについて「転嫁」の代表的な手段の一つである保険手配における欧米と日本の違いについて具体的に説明したい。

(1) リスクマネジメント手法について

 リスクマネジメントの手法は、取り立てて新しい、もしくは特殊なものではなく、図1-1に示した手法が基本となる。リスクマネジメントの教科書ともいうべきこの基本となる手法は、日本でも古くから知られている。欧米企業では、リスクマネジメントの「運用」が教科書通りに忠実に行われていることに注目したい。リスクマネジメントの手法それぞれのサイクル(リスクの把握、リスクの分析評価、リスク処理策の決定、リスク処理策に沿っての対応、レビュー)が確実に行われているのだ(図1-2)。特に、リスクマネジメントのサイクルのうち、「リスク処理策の決定」から「リスク処理策に沿って対応」までのプロセスにおいては、自社の事業戦略に沿ったリスクマネジメントの「ガイドライン」がしっかりと整備されている。この「ガイドライン」は、自社の成長を後押しするために必要なリスクファイナンスとリスクコントロールの方策を網羅し、各々の方策を採用する基準を示すものだ。つまり、「リスク処理策に沿って対応」することにより、リスクマネジメントが機能しているかを評価することができ、不確実性を最小化することにより、難しい事業環境下においても勝ち残るために備えるこができるというわけだ。そのため、このリスクマネジメントのプロセスを重要視している。また、リスク処理策、つまり「回避」「軽減」「転嫁」「保有」に対する対応の違いについても本文を通じて紹介したい。..


■筆者履歴

池島 勝利(いけじま かつとし)
マーシュブローカージャパン  マネージングディレクター
保険業界歴 33年 (Marsh 8年)
1987年日系保険会社入社。国内営業を経て海外(香港)での営業を契機に2002年香港にて日系保険ブローカーの責任者として転籍。
同社の外資系保険ブローカーによる買収交渉を経て、香港法人の日系部門を立上げ。04年の中国WTO加盟を機に、同社と中国大手商社との合弁会社に移籍し、新たに日系部門を立上げ、外国人初となる中国保険監督庁認定保険ブローカー資格取得。上海を拠点に香港・中国において数多くの大手日系企業のプログラム構築。
12年帰国、マーシュブローカージャパン㈱入社。営業部門の責任者として、大手日系企業のグローバルプログラムの新規構築と運営、巨大リスクに対するリスクファイナンス等の業務を牽引。

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