[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2017年7月号 273号

(2017/06/15)

【MARK STYLER】中国系PEファンドCITIC Capitalと組んで中国市場にも再挑戦、売上高600億円を目指す

  • A,B,EXコース

「エモダ族」を生んだファッンション・メーカー

秋山 正則氏(MARK STYLER 代表取締役社長)、小林 進太郎氏(CITICキャピタル・パートナーズ・ジャパン・リミテッド マネージング・ディレクター)   2015年4月30日、「MARCURYDUO(マーキュリーデュオ)」「EMODA(エモダ)」「MURUA(ムルーア)」などのファッション・ブランドを展開するMARK STYLERを中国系投資ファンド、CITICキャピタル・パートナーズが買収した。

  創業オーナーによって05年に設立されたMARK STYLERは、完全招待制のファッションショー「touchMe」の開催や、ファッション通販サイト「RUNWAY channel」を自社で立ち上げ運営するなど、若者を中心に人気を獲得し、全身を同ブランドで揃える「エモダ族」という言葉まで生んだ注目のアパレル企業である。

  同社を買収したCITICキャピタル・パートナーズ(以下CITIC)が運営する日本ファンドは、香港に本社を置くCITICキャピタル・ホールディングス・リミテッドのグループ(以下CITICキャピタル)に属するPEファンドで、同グループの中国企業を対象とする中国ファンド、欧米企業を対象とする米国ファンドと並んで、日本企業向けのバイアウト・ファンドとして04年に設立された。CITICキャピタルが属するCITICグループは中国政府系金融コングロマリットだが、もともと鄧小平・元主席が1979年に中国経済の改革開放政策を進めるにあたって旗印としてつくった会社だ。そういう意味ではスタート時点から中国でも非常にユニークな存在と言える。

  当時28ブランド244店舗を展開し、中国への出店も行い、14年3月期には売上高370億円にまで業容を拡大したMARK STYLERだったが、15年3月期には赤字に転落し、CITICの支援を仰ぐことになった。

  ファッション業界注目のMARK STYLERが何故、赤字に転落したのか、CITICのもとでどのような再成長戦略を描いているのか。MARK STYLERの秋山正則社長とCITICの小林進太郎マネージング・ディレクターに聞いた。

<インタビュー>
業績はV字回復、将来は広く海外市場への進出も視野に

 秋山 正則(MARK STYLER 代表取締役社長)
 小林 進太郎(CITICキャピタル・パートナーズ・ジャパン・リミテッド マネージング・ディレクター)

被買収企業のトップとして経営に参画

-- 秋山社長はいつMARK STYLERに入られたのですか。

MARCURYDUO秋山 「当社がMARK STYLERという社名になったのは05年ですが、その前身としてMERCURYDUO(マーキュリーデュオ)という会社が03年に立ち上がっていました。同社は創業オーナーのもと、当初は順調に出店していったのですが、アパレル経験者が少なく、売上至上主義に偏り商品を作りすぎて経営的に苦しくなっていたところ、アパレル業のプロを探していたようです。私はその当時、全く別のところでファッション・ブランドの会社を2つ任されていまして、そのうちの1つを創業オーナーが買収したのをきっかけに、06年に私が招聘され、社名もMARK STYLERに変わり、私が実質的に経営を担当することになったのです。

  その後は、新しいファッション・ブランドを立ち上げたいという若い社員達を支援する形で、矢継ぎ早に若者受けする斬新なブランドを立ち上げ、09年には私が当社の社長になりました。その時はまだ売上高60億円ぐらいでしたが、13年のピーク時には約370億円まで行きました」

ファッション業界を歩んできた秋山社長

-- 秋山社長の経歴を聞かせてください。

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