[M&Aトピックス]

(2021/11/16)

KAITEKI研究会、快適資本主義の構築を提言

~日本、米国、ドイツで実施した「社会課題に関する3か国意識調査」の結果も併せて公表~

 経済社会システム総合研究所「KAITEKI研究会」(会長:小林喜光氏(東京電力ホールディングス取締役会長、三菱ケミカルホールディングス取締役))は日本、米国、ドイツで同時に行った「社会課題に関する3か国意識調査」の結果を公表するのに合わせ、近年の資本主義の構造変化に対応するため、「Well-Being Capitalism」(快適資本主義)の構築を提言した。

 経済社会システム総合研究所「KAITEKI研究会」は、日本が今日まで続く長期停滞を脱し、「多様な価値の持続的創造=KAITEKI」を実現することを目標として、種々の調査を行い、企業や政府が取り組むべき改革のあり方などについて研究を行っている。

 2021年8月には、今後の望ましい経済社会のあり方を研究する一環として「社会課題に関する3か国(日本・米国・ドイツ)意識調査」を実施した。この意識調査の結果は、市場の構造変化を示唆しており、人々のニーズは、所得などの「経済的価値」だけでなく、「健康」、「生活」、「信頼関係」、さらには持続可能な自然や社会等の「社会的価値」など多様な価値に拡がっていることなどを示していた。

 また、この意識調査において、日本では、望ましい社会の実現に向け「政府」、「企業」が役割を果たすべきとの意識が強いという結果も踏まえつつ、「Well-Being Capitalism」の実現に向け、企業と政府が取り組むべき課題として、今回、提言にとりまとめられた。

 企業の課題としては、無形資産の構築(人材、知財、データ等への投資)と有効活用を進めるための事業提携や連携、さらには事業再編、合併等の推進の必要性のほか、同時に、無形資産への投資や事業再編などに際して必要なリスクを取ることをはじめとして、目標を強力に実現できる企業経営を確立し、これらの取組みを「統合報告」の中で具体的に示すことなどが挙げられている。

 また、政府には、経済・社会両面で課題解決のために役割を果たすことが期待されるとして、経済的価値だけでなく、健康、カーボン・ニュートラル、持続可能な衣食住、格差や貧困の是正、地域コミュニティの活性化などのWell-Being 全体を包含する形(Beyond GDP)で「国の目標を再定義」するとともに、その実現に向け取組みを強化すべきとしている。

 さらに、国民が共同で保有すべき基礎的資本として「ベーシック・キャピタル」(基礎的な人的資本や広く社会が必要とする知的財産やデータ等)を明確に定義し、その整備のため、人的資本の蓄積とその力の発揮を支える公的支援、社会的な価値を生む研究開発投資への支援、企業の社会課題への取組みを目指したガバナンス改革への支援などを進める必要があるとしている。これにより、民間部門に存在する貯蓄超過を是正し、低成長、デフレ圧力を払拭していくことが期待される。

■ 経済社会システム総合研究所「KAITEKI 研究会」 【提言 2021】「Well-Being Capitalism」(快適資本主義)の構築に向けて〜「相互信頼下の持続的価値創造システム」へ

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