[編集部から]

2022年10月号 336号

(2022/09/09)

次号予告と編集後記(2022年10月号)

次号予告

2022年11月号
特集:地銀改革
2022年10月12日 マールオンライン上のリリース 
2022年10月17日 発売予定 
※内容は変更されることがあります。タイトルは仮題です。

編集後記

■本誌9月号の特集座談会「トランスフォーメーションに向かって進化する日本企業のM&A――最前線のリーダー達が視た現場実務の現状と課題」で、M&A実行にあたって、数字でシナジーを説明できる部分と戦略的に夢をビジョンとして描いている部分のどちらも説明しながらストーリーを組み立てることが必要になるという指摘がありました。とりわけ新事業の場合は、当初はシナジーなど当然あるはずもなく、核となる会社を買って、ロールアップしていくことでシナジーの可能性が生まれ、ある程度の規模のビジネスに育っていくというケースが少なくないわけですから、ストーリーの組み立ては重要なポイントになります。
事実や数値の羅列よりも、物語(ストーリー)があることによって最大で22倍記憶に残りやすいという研究結果もあります。出来事を理解するために頭の中で物語を作り出すのは、人間ならではの能力なのかもしれません。原稿を書いたり議論をするなかでも、ストーリー(物語)が力を発揮することは日々実感するところでもあります。
ところが、この物語を創り出す能力は、とんでもない負の力も発揮します。『ストーリーが世界を滅ぼす──物語があなたの脳を操作する』で、著者のジョナサン・ゴットシャル氏は数々の負の側面を紹介しています。反ユダヤ主義や白人至上主義、カルト宗教、地球平面説や疑似科学、様々な陰謀論、新型コロナワクチンの注射でチップを埋め込まれているetc. 知的能力の高い人が必ずしも合理的なわけではなく、陰謀論的な空想を紡ぎ出すことに長けている場合があるというから厄介です。既存のメディアやSNSを通じて、様々な物語の海にどっぷりつかった我々はどうすればいいのか。ゴットシャル氏はこう言います。
「物語を憎み、抵抗せよ。だが、ストーリーテラーを憎まないよう必死で努めよ。そして平和とあなた自身の魂のために、物語にだまされている気の毒な輩を軽蔑するな。本人が悪いのではないのだから」(耕)

■日本経済新聞の証券面に時折掲載される、昭和電工の企業広告「人生は化学式。」をご存じでしょうか。6.9cm×9.4cmの手のひらサイズの枠内で、自社製品である「黒鉛電極」や「リチウムイオン電池」がどういったものなのか、説明を盛り込んだショートストーリーが展開されます。新聞で広告を見つけるとできるだけ読むようにしていますが、この「人生は化学式。」シリーズはなるほどと納得させられることが多く、新聞を捲る楽しみの1つとなっています。目が滑ってうまく嚙み砕けないものも少なくなく、簡易に説明することの難しさを感じます。私自身、日々M&Aデータの作成に携わる中で、開示情報等を通じて様々な業種の企業の様々な製品・サービスと出会いますが、わかりやすいこともあれば、想像するのに苦労することも。データベースやWEB記事の短い文章で会社の内容を分かりやすく表現するのは簡単ではありませんが、自分自身が腹落ちできるかを大事にして、なるべく読者に伝わりやすいものになるよう心掛けています。(澄)

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