[視点]

2022年4月号 330号

(2022/03/09)

日本企業の事業ポートフォリオ改革は進むのか

人見 健(NTTデータ経営研究所 パートナー)
  • A,B,EXコース
2021年の上場企業のカーブアウトは前年比2.8%増加

 2021年の上場企業が、子会社や事業部門を譲渡する「カーブアウト」案件は409件と前年比2.8%増加した。カーブアウト案件は、2016年の341件と比較すると、特に2019年から増加傾向にある (出所:レコフデータ)。上場企業の業種は、金融、素材、資源・エネルギー、消費財、製薬、化学、電気機器等、多岐にわたっている。各社とも売却の目的として、「コア事業への経営資源集中」等を表明しており、成長分野への投資を目的としたキャッシュの捻出が加速している(図表1)。例えば、ENEOSホールディングスは、石油に依存したポートフォリオの入れ替えのため、2021年10月、再生エネルギー開発事業を行う、ジャパン・リニューアブル・エナジーを2000億円で買収することを公表した。


事業ポートフォリオ改革進展の背景

 上記のカーブアウト公表件数や、案件事例を見るに、日本企業の事業ポートフォリオ改革は、少しずつ進みつつあるように見える。上場企業を中心にポートフォリオ改革が進展しつつある背景として、以下の通り、企業側でのポートフォリオ経営の意識の高まりと、企業を取り巻く外的要因の変化が考えられる。

1. 企業側の要因

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング