[M&Aの現場から]

2019年2月号 292号

(2019/01/18)

【サムライインキュベート】新興国のスタートアップと日本の大企業の力をかけ合わせて新興国を先進国にするようなインキュベーションを目指す

榊原 健太郎(創業者 代表取締役 共同経営パートナー)
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榊原 健太郎氏
榊原 健太郎氏
 サムライインキュベートは2008年3月、榊原健太郎氏によって設立されたベンチャーキャピタル。18年3月で設立10周年を迎えた。

 榊原氏は、1974年10月生まれ。97年関西大学社会学部を卒業後、日本光電工業入社。2000年メディア事業とアドテクノロジー事業を行うアクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)に転じ、08年サムライインキュベートを設立した。

 「私は、名古屋の歴史ある生田屋琴三味線店の5代目として生まれました。商売人の息子として両親を見ていると、両親にはお客さんのお葬式に参列する機会が多々あり、『付き合いで葬式に行ってくる』という言葉をよく耳にしました。この時に“自分は付き合いで葬式に来られるような寂しい人生で終わらせたくない”と思ったことを強く覚えています。自分の葬式は、“あの人のお陰で人生が変わったからこそ、本当に悲しい。感謝している。と心から思ってくれる人がたくさん来てくれるようにしたい”これが、自分が得たいと思う『人生の存在意義』となりました。

 大学時代は、ユネスコ研究部に所属して過疎化した街の子供達と遊んだり、日本国際救援行動委員会(JIRAC)というNGOに隊員として所属して、カンボジアにも行きました。これらの体験を通して、社会貢献の大切さを認識をしました。

 大学を卒業後入った業界は医療業界で、病院への営業担当だったのですが、仕事が面白いと思えず、悶々としていた頃、偶然サイバーエージェントの創業者である藤田晋さんのブログを読み、自分もこんな世界で働きたいと思うようになったのです。そこで、ITベンチャーに転職しようと考え、当時懸賞サイトを運営していたアクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)の創業間近のタイミングで関わらせてもらいました。その後独立すると決めてから、たくさんの起業家に会う中で、これまで培った強みを活かしてベンチャーの支援を行いたいと思うようになり、改めて何を目指して行くべきか考えるために、『夢手帳』を書き始めるようになりました。自分のお葬式では、とにかくたくさんの人が悲しみ、思い出を語ってほしい。そのために目指すべき目標は何だろう、と考えて行き着いたのは、『ノーベル平和賞を獲ること』でした。日本だけでなく、世界中で人の役に立ち続けることをした後の結果として、人生をかけて目指そうと。そして、ノーベル平和賞を獲るために、何をすればいいかを考え、一つずつ挑戦していく。渋沢栄一さんの功績を超える522社に投資すること、日本だけでなく海外でインキュベーション(起業家支援)を行うこと、発展途上国の支援を行うこと等、ノーベル平和賞につながる行動をKPI(key performance indicator)にし、一つ一つ達成していこうと決めたのです。そして、『できるできないでなく、やるかやらないかで人生は変わる』ことを、ビジネスを通じて世に伝えたいと考えてサムライインキュベートを創業することにしました」と、榊原氏。

 設立当初は、世田谷区にあった自宅の一室をオフィスとして自分の営業経験を活かしたベンチャー企業の営業代行会社として起業。その後、より多くの人に社会貢献をするために、起業家への投資・インキュベーションを行うため、09年1号ファンドを組成した。運用総額は約5000万円。

 「投資を始めた頃は

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