[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2022年5月号 331号

(2022/04/11)

アンジェリカの買収で保育業界での存在感を高めるWITHホールディングス

――“量”から“質”へ経営転換を迫られる中で打ち出す成長戦略とは

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新井実・WITHホールディングス 代表取締役(中央)、小森一孝・ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナー(右)、大佐古佳洋・同ディレクター(左)

新井実・WITHホールディングス 代表取締役(中央)、小森一孝・ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナー(右)、大佐古佳洋・同ディレクター(左)

2025年問題

 保育事業を展開するWITHホールディングス(以下WITH)が、同業のアンジェリカを2021年10月買収した。

 WITHは、2020年3月にティーキャピタルパートナーズ(以下TCAP)が管理・運営するTMCAP2016投資事業有限責任組合が投資を行った先で、2004年7月に設立。東京都城東・城北地区、埼玉県を中心に66カ所で保育施設を運営している。

 一方、アンジェリカは2004年11月の創業で、2016年から双日のグループ子会社として東京都城南地区を中心に計31カ所の保育施設(アンジェリカ保育園・えほん保育園)のほか、6カ所の学童保育施設(colors学童保育)を運営している。

 保育所については、2013年4月、安倍内閣時代に待機児童問題が最優先課題と位置づけられ、「待機児童解消加速化プラン」が策定された。その後、2019年10月には政府による幼児教育・保育の無償化が開始され、さらに2021年4月から「新子育て安心プラン」がスタートした。新プランでは、2021年度から2024年度までの4年間で約14万人の保育の受け皿整備や地域の子育て支援の活用など、待機児童解消を目指して取り組むとしている。

 その一方で、厚生労働省が発表した「保育を取り巻く状況について」(2021年)では、「保育所の利用児童数が2025年でピークを迎える」とされ、2026年以降保育所の需要と供給のバランスが逆転することが予想されている。少子化が加速する中、保育施設経営者には“選ばれる保育施設”へと、「量」から「質」への転換が求められることから、今後、保育施設運営会社のM&Aも増加すると見られている。

 こうした中、アンジェリカを買収したWITHは、今後の成長戦略をどう描いているのか。同社の新井(にい)実社長とTCAPの小森一孝・取締役マネージング・パートナー、大佐古佳洋・ディレクターに聞いた。

<インタビュー>
“選ばれる保育園”のネットワーク拡大とお母さんの社会復帰サービスを強化

 新井 実(WITHホールディングス 代表取締役)
 小森 一孝(ティーキャピタルパートナーズ 取締役マネージング・パートナー)
 大佐古 佳洋(同 ディレクター)

脱サラして保育所事業へ

-- WITHホールディングス(以下WITH)は、2020年にティーキャピタルパートナーズ(以下TCAP)からの投資を受けました。今回、アンジェリカの買収を行ったわけですが、まず、新井さんがWITHを設立した経緯からお聞かせください。

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