[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2023年5月号 343号

(2023/04/11)

広告プラットフォーム事業のトップ企業ジーニーが米Zelto買収で狙うもの

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工藤智昭・ジーニー 代表取締役社長

工藤智昭・ジーニー 代表取締役社長

グロース市場上場企業としては珍しい大型買収

 東京証券取引所グロース市場上場のジーニーが2023年2月、北米、インド、ヨーロッパに最先端の媒体社向けの広告収益向上テクノロジーとサービスを提供する米国Zelto,Inc.(以下、Zelto)の全株式を取得し、子会社化した。取得価額は67億円で、グロース市場上場企業としては珍しい大型買収として注目されている。

 ジーニーの創業は2010年。独自のマーケティングテクノロジーを強みに、広告プラットフォーム事業、マーケティングSaaS(Software as a Service)事業を展開。創業当初から手掛けてきた主力事業である広告掲載メディア向けの広告枠販売や広告収益最大化を支援する配信プラットフォーム「GENIEE SSP(Supply Side Platform)」は、創業6年で国内市場シェア1位を達成した。また、創業3年目という早い時期から海外市場に進出しており、東南アジアに拠点を構えている。

 同社はM&Aにも積極的で、2018年6月にSFA(Sales Force Automation)/CRM(Customer Relationship Management)システムを提供する「ちきゅう」をグループ化したほか、同年11月にチャットツールを提供する「チャモ」、2020年にサイト内検索エンジンを提供する「ビジネスサーチテクノロジ」、2021年に顧客獲得・管理チャットボットを開発・提供する「REACT」、2022年2月に効果計測・レポート機能を提供する「CATS」、2022年7月にランディングページ表示高速化の「Hypersonic」を買収してきた。

 今回買収したZeltoは、インターネットメディアのディスプレイ広告収益の向上サービスやレイアウト最適化サービスなどを提供。フィナンシャルタイムズ誌の「The Americas’ Fastest Growing Companies2022(アメリカで最も急成長している企業)」で500社中33位にランクインしている成長企業で、現在50カ国以上のメディアにサービスを提供。APAC(アジア太平洋)地域では広告収益最適化のカテゴリーにおいてマーケットリーダーとしてシェアを拡大している。

 ジーニーの工藤智昭・代表取締役社長にM&Aを活用した成長戦略を聞いた。

<インタビュー>
米国Zelto買収でグローバル展開に拍車

 工藤 智昭(ジーニー 代表取締役社長)

魔法のようなテクノロジーで、世界を変える

―― 工藤社長が2010年4月にジーニーを立ち上げた経緯を教えてください。


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